
そんなの見たことも聞いたことないよと思いつつ、どんな味なんじゃいと好奇心も手伝って、ちょっくらおじいを喜ばしてやろうと、珍獣ならぬ珍味発見の探検に出た。
アメリカでは結構癖のあるソーダが古くからある。特に「ルートビアー」は日本でも有名でしょう。
「ビアー」と言ってもアルコールは入ってなく、 植物性の発酵飲料は全て「ビアー」と言うらしい。どちらかと言うと健康飲料の類い。
ルートビアーの原料、サルサパリラという薬草は、ペニシリンに次ぐスピロヘーター感染症(梅毒もその一つ)の特効薬なのだそうだ。俳優のリチャード・ギアもスピロヘーター感染症のライム病にかかってしまって、ルートビアーを飲んだとか、飲まないとか。
しかし、ルートビアーを飲んだことのある人は、その癖の強さにぶっ倒れそうになったことがあると思う。まあとにかく、何とも表現しがたい、初心者には厳しいお味。しかし人をとりこにする魅力があるのらしく、今日まで売られている。うまいはずはない。あえて言うならば、「まずうま」。これをピザやフライト食べると絶品なんだそう。
ところでこのセロリのソーダは、予想に反してあっさり近所のスーパーで見つかりましたわ。
1869年創業、老舗飲料メーカー「ドクター・ブラウンズ」の、その名も「セル・レイ」。セロリと同じ黄緑色の缶が目印。缶とボトルの他に、2リットルのペットボトル入りでも売っておりました。
ニューヨークはブルックリンで開業していたお医者さん、ドクター・ブラウンさんが作ったのが始まりなのだそう。医療関係のにおいがするところが、「まずうま」のポイントですね。
早速半ダース買って冷やして飲んでみまちた。
ぷしゅー。缶のプルトップを開けた途端、気化した炭酸と一緒にセロリのにおいが鼻をついてくる。実は私、もうそれで萎えてしまいました。結構そのまんまのセロリです。
ははは、全くのセロリです。しかも大甘。セロリ好きの人でも、この「甘いセロリ」は許せんのではなかろうか。もう萎え萎えです。
しかし、妙に後口さっぱりするのは気のせいだろうか。セロリの風味がさわやかにも感じる。もう一口、一口と飲んでいくうちに、完飲しておりました。もしかして、私も「まずうま」のとりこになってしまったのかしら?
その後、近所のおじいの喜ぶ顔が見たくて、一本持っていってあげました。しかーし「懐かしいのー」としげしげと缶を眺めるばかりで、いっこうに飲もうとせん。そしてあげくの果てには、「あまり好きじゃないんじゃよ、コレ。」とは。
なぬ! 早く言えよ、おじい。