旧海軍も愛した!? 呉名物“メロンパン”
おなじみの丸くて表面カチカチのものとはずいぶん違う、呉の「メロンパン」。中にはみっしりとクリームが詰まっています。
一時期のブームは過ぎ去ったものの、まだまだ根強い人気をもつメロンパン。私の故郷、“旧海軍のまち”広島県の呉市では、昔から名物として「メロンパン」が親しまれてきた。

昭和11年の創業以来全く変わらぬ味で、私の祖父母の代から呉市民に愛され、今でも1日600個が売り切れてしまうほどの人気商品だ。
その呉の老舗パン屋「(有)メロンパン」の「メロンパン」を、先日帰省した際、ひさしぶりに味わってみた。

ただしこのパン、「メロンパン」といっても、ラグビーボール型で、一般的なメロンパンとはあまりにも違う外見。違いはそれだけでなく、手に持ったときのその重さ。ずっしりと重いのだ。
計ってみると、普通のメロンパンが100グラム前後なのに対し、このメロンパンはなんと246グラム。

それもそのはず、中にカスタードクリームがぎっしり詰まっているから。ただし、カスタードクリームとはいっても、淡い黄色ではなく白っぽい半透明で、味はまるで白あん。舌触りもは糊のようにネットリ。味はめちゃくちゃ甘く、1個食べるともうお腹いっぱい……。
1個120円。名前の由来は、戦前、まだ高級だったメロンにあやかって名付けたとか。
袋には“高級パン”とまで記されている。

そんな「メロンパン」、戦前から作られているため、メロンパンの元祖ではないか? と噂され、テレビ番組で取り上げられたこともあった。しかし、一般的なメロンパンらしきパンは大正時代から作られていたというし、ラグビーボール型のパンも神戸に昔から存在するという(こちらの中身は白あん)から、元祖かどうかは不明。

ところで、少し前までは、メロンパンといったら呉の住民はここの「メロンパン」のことをいい、一般的な丸い形のメロンパンのことは、なぜか「コッペパン」と呼んでいた。
私自身かなり大きくなってから、呉でいう「コッペパン」が、実は一般的には「メロンパン」という呼び名なのだということを知った時は、かなり衝撃であった。

今話題の呉にある「大和ミュージアム」を観光などで訪れた際は、ぜひこの名物「メロンパン」も味わってみてほしい。

(いなっち)