
この日駆けつける観客約200名が、その「D.T.」なのだという。
ということで、駆けつけてみた。
会場に行くと手渡されるのが、特製のミニティッシュ箱と、チェリー型のロリポップキャンディ。ドリンクコーナーのジュースやコーラ、アイスコーヒーなど、すべてのドリンクにチェリーが浮かべられている。
さて、イベントスタート。まずは、全国童貞連合という団体が選んだ、「童貞が憧れるタレントナンバーワン」として、飯島愛がステージ上に登場。表彰をうける。
「童貞のみなさん、こんにちはー!」
と声をあげるが、会場、シーン。そう、みなさんはピュアでシャイなのである。会場にはオレ含めマスコミが多数駆けつけていたが、ドリンク買うと、その「絵」をおさえようと、カメラが追いかけたりする。飲み物欲しくても、カメラにはうつりたくないし……と、その控えめさが、D.T.。
続いて、この映画の特別宣伝プロデューサーでもある、みうらじゅんと、山田五郎によるトークショー。
2人は、「童貞を長くこじらせたほうが、よりクリエイティブになれる」「『電車男』は、おたくの敗北の物語。結局、アイツはつまんない奴になっちゃうってことでしょ」「肘を折り曲げるだけでいろいろ想像できたし、辞書や住所録なんかだけでも妄想できた」と、D.T.の「美しさ」を次々に語っていく。そう、D.T.時期がグローリーデイズなのだ。
肝心の映画については、主人公に、どうにかして初体験させてあげようと奮闘する同僚たちの様子に、「童貞が神様なんだよ。神様に光をもらうことで、周りも『青春』になるんだよね」と、みうらじゅん。そう、みんないい年こいてちゃんと働いているのに、すごくイキイキしてて、ちゃんと「青春映画」なのである。
試写を見ながら、高校時代にバンドを組んだものの、嫌いな友達のことや生徒会を信じるな、みたいな曲を歌い、それが「カッコいい」と思ってたこと、女子のプールの授業を鈴なりになってのぞいたこと、女子のジャージを拾い、なぜか奪い合いになったことなど、なんともバカな、D.T.的思い出と友達の顔が、次々頭にうかぶ。
いちおう、それもまた「美しい」と思ってます、オレは。そのおかげで、こうやって職業ライターになったんだろうし。
このときの友達に、連絡してみるか。そして聞いてみよう。「あのころのD.T.マインド、まだ持ってるかい?」と。
(太田サトル)