“夜のお店”の不思議な「グレーゾーン」に迫る
いろんなお店がありますが、それぞれがいろんなルールに基づいて営業しているわけです。
11月半ば、新宿歌舞伎町のホストクラブ「ニュー愛」などが風営法に基づき、営業時間に関する立ち入りを受けたというニュースがあった。
「へえ、ホストクラブって、“風俗”というくくりなのか」などと、別のところで驚いたりしたが、都条例で、午前1時から日の出までの「深夜営業」が禁止されていることで、いま、夜のお店はその微妙で曖昧なルールをめぐり、様々な画策をしているのだそうだ。


あるカラオケバーの経営者は言う。
「風営法で、本来、カラオケに関しては、深夜営業はNGなんですよ」
え!? 深夜にカラオケやっちゃいけないの?
「これ、警察に問い合わせたんですけど、お客さんが勝手に曲を入れて歌っている場合には、『グレーゾーン』なんだそうです。でも、店員がお客さんに『歌ってくれ』とあおったり、助長したりする行為はアウト」
要は、お店側がすすめたか、それともお客の意志によるものかということらしい。お客さんが自分で曲を入れるカラオケボックスなんかもそうなんだろうが、そんな微妙な違いなんて……。だとしたら、「お客さんが勝手に曲入れちゃって」なんて適当な言い訳だって、まかり通るのでは?
「そういう店もあるかと思いますよ」

さらに、バーや居酒屋などで、深夜営業がアウトかどうか分かれるポイントがあるとか。
「それは“店員が席につくかどうか”。
店員がお客さんの席についたら、“接客”ということになってしまい、アウトなんだそうです。ウチなんかは『深夜飲食』という登録になっているんだけど、警察に『席につかないんだけど、朝5時ぐらいまで営業してて大丈夫?』と聞いたら、答えにくそうに『それはグレーゾーン』って言ってましたよ」
同じように営業していても、席につくかつかないかで分かれ目となるというのは、どうにも不思議な感じがする。

でも、この「グレーゾーン」はお店をやっている人たちにとっては助かる部分もあるそうで、なかにはこんな対応も。
「あるお店では、深夜になると、店員が私服に着替えるそうです。それで、店員の一人が店の入り口で見張り番をして、警察が来ると、客側に座って、客のフリしてるらしいですよ」

もう何のための取り締まりだかよくわからない話だが、夜の世界にはいろいろ複雑なルールがあるらしいです。
(田幸和歌子)