ストッキングとタイツの境界線は、何デニール?
デニールは、冬場の女性にとって、欠かせない単位です。
寒い冬の、女性のオシャレの味方、デニール。
「誰、そのおっさん?」なんて言う人もいるかもしれない。
「ああ、あのケツアゴの?」。それはロバート・デ・二ーロ。
これは、れっきとした「単位」である。
そう、ストッキングやタイツ等の厚さについて、「60デニール」「80デニール」なんて具合に用いられるものだ。

でも、この単位、それ以外で聞いたことがないけど、専門用語なのか。かつての都市伝説に、「痛みをあらわす単位として、鼻毛を抜く痛みを基準にして『1ハナゲ、2ハナゲ』と呼ぶことに国際会議で決定された」なんてのがあったけど、実はデニールも、どこかのおじさんの“あったか基準”だったりしないだろうか。

福助株式会社に語源などを聞いてみた。

「デニール(denier)は英語で、生糸や化学繊維の太さを測るのに用いる単位です」と、PR担当の斉藤さんは言う。
では、実際に1デニールって、どういう太さなのか。
「長さ450メートルの糸が、0.05グラムの時の太さが1デニール。長さが同じで重さが2倍、3倍ならば2デニール、3デニールとなるんですよ」
つまり、デニール数が増えるほど、繊維は太くなるというわけ。

ただし、この「デニール」、今では正確には別の単位に切り替わったのだとか。

「繊度表示を国際整合性の観点から、ISO(国際標準化機構)規格に合わせるという、日本化学繊維協会の方針に基づき、1999年より『デシテックス』表示に切り替えることになりました」
デシテックス!? 初めて聞きました……。
「そうですね。同協会会員の化学繊維メーカーは全て、『デシテックス』表示切り替えを実施することになりましたが、認知訴求がなかなかされておらず、消費者に理解しやすいよう、未だ『デニール』が一般的に使われている状況なんですよ」

ところで、そもそも「ストッキング」と「タイツ」の違いは、自分などは単純に「厚さの違い」と認識してるのだけど、実際にはどうなんでしょう?
「当社では、デニール数でタイツとストッキングに区分しております。7〜19デニールはストッキング、20〜39デニールはオペイクタイツ、40デニール以上をタイツとしています」

ちなみに、デニール数が大きいほど、厚ければ厚いほどあったかくなるわけだけど、現実的には何デニールぐらいが上限なのか。
「ナイロン系のものでは、160デニール位だと思います。毛混系のタイツは、通常デニール表記はしませんが、デニールに換算すると350〜400もしくはそれ以上の物までありますよ」
自分がよくはくのは、80デニールぐらいだけど、一番の売れ線は何デニール?
「そのシーズンのファッション傾向、気温等によっても異なりますが、当社では今年は110デニールがよく売れています」
けっこう厚めが人気のよう。


男性にはおそらくほとんど縁がないであろう、デニールさん。今年の冬もどうぞよろしく。
(田幸和歌子)