デシリットルはどこで使われているのか?
昨年、映画、テレビドラマで話題を呼んだ『1リットルの涙』。途方もない量の涙だけれど、現実的には涙を測るのに「リットル」は大きすぎる。
「ミリリットル(ml)」がちょうどいい。

さて、小学校で習った「デシリットル(dl)」という単位、覚えているだろうか。1リットルの10分の1、枡を使って実験したよね。現在も3年生の算数で習う。みんなが習うのに日頃滅多に見ない不思議な単位。どこでどう使われているのか長年気になっていたが、探してみると意外に身近な所にあった。


まずは、毎年受ける健康診断の結果。よ〜く見ると「デシリットル」がある。例えば血糖値。国内に700万人の患者がいて、子供にも増えていると言う糖尿病の指標だが、その単位が「ミリグラム/デシリットル」。コレステロールも同じ単位。デシリットルを使うのはなぜか。
医薬品メーカーの友人に尋ねてみた。
「数値が2〜3桁で済んで使い易いからだと思います。血糖値なら空腹時120と言うけれど、リットルを使うと1200になって分かりにくいです。しかし、普通、検査値を言う時、単位は付けず○○と数字だけしか言いません」
年齢を言うとき、○○才、の才を省くのと同じかな。デシリットルも省かれてしまい、目立たない存在になっているようだ。

次に見かけたのが「種」。
家庭菜園をやる人は、ホームセンターで買ったことがあるかも。ネットでも販売されていて、「大根の種 2デシリットル○○円」というのを発見。種苗販売の(株)日本農林社に、デシリットルを使う理由を尋ねてみた。
「昔、1合、1升を基準として使用していたなごりです。大根やコマツナなどは2デシリットル単位での販売が主です」
現在は法律の定めで「1合」という単位が使えない。1合(180ml)に近くてきりのよい「2デシリットル(200ml)」が販売単位になったそうだが、デシリットル表示では種が何粒あるのかが分かりにくく、今後は粒数単位での販売が主流になる見込み。
デシリットルはちょっと分が悪いようだ。

ところで、ヨーロッパでは「センチリットル(cl)」という単位がよく使われる。1メートル=100センチメートル、これと同じで、1リットル=100センチリットル。旅する人は覚えておくと便利。日本でも輸入物のビールやワインに見かけるので、探してみてね。

「1センチリットルの涙」、もしヨーロッパにこんなタイトルの小説があるとしたら、それはちょっと切ないラブストーリーかもしれません。

(R&S)