法律では誕生日の前日に1歳年をとる!?
民法143条によると、3月1日生まれの場合は2月28日の午後12時をもって1歳年が加算されることに
誕生日が嬉しかったのははるか昔!? のこと。その存在があまり嬉しくなくなってから数年がたつ。

それは言わずもがなの誕生日とともに1歳年齢があがるからということが原因なのだが、実は年齢が1歳あがるのは誕生日当日からではない。
みなさん、これご存知でした?

年齢の数え方は「年齢計算に関する法律」で民法143条を適用するということになっていて、簡単に言ってしまうと法律的には誕生日の前日午後12時に1歳年齢が加算されるということなのだ。

この民法143条は以下のような一文でとてもわかりずらい。
一.週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
二.週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。


これによると、例えば3月1日生まれの場合は2月28日(閏年の場合は29日)の午後12時をもって1歳年が加算される。
2月28日の午後12時は3月1日の午前0時とどう違うのか、という問題もあるが2月28日(閏年の場合は29日)の午後12時で1歳年をとるということに決められている。
この関係上でややこしいのが「4月1日生まれは早生まれ」になるということ。

学校教育法では、保護者は「子女の満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校(中略)に就学させる義務を負う」とされている。
この「子女の満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」というもってまわった言い方がまた分かりにくいのだが、文部科学省に確認したところ、これは実質的には4月1日を指すのだそうで、4月1日生まれは3月31日に満6歳になっているとみなされ学年が1つ前倒しになってしまうのだ。

「入学が近づくこの時期になるとそういった問い合わせはよくあります」と文部科学省の方も言っていたが何ともややこしい。

まっ入学などに関しては4月1日生まれにスポットがあたるが、他の月でも同じように1日生まれにはややこしいことがある。それは年金や保険加入の際に月単位で満年齢を計算する場合だ。
実は私も誕生日が1日なのだが、実際の誕生日月の前の月に1歳年齢が繰り上がってしまうのだ。そのため年金も実際には19歳11カ月目から払わなければならなくなっている。でも支給される時は2日以降生まれの人より1カ月繰り上がるので支給日がちょっとだけ早い。このあたりは考えようによってはちょっとお徳かもしれない。


そして誕生日の前日に年齢が1歳加算されることで多くの人が影響を受けるであろうと思われるのが選挙。
満20歳で選挙権を得られるわけだが、例えば投票日が3月11日の場合、3月12日の誕生日で20歳となる人は選挙権があるということになる。また、他の有権者と同じように不在者投票もできる。ただし、期日前投票はできない。
何で不在者投票がOKで期日前投票がNGなのかというと、不在者投票は投票用紙の一時預かりで期日前投票は本人による確定投票ということが理由。不在者投票は立会人のもと投票用紙を管理者が一時預かり、投票日に管理者が投票箱に入れるのに対し、期日前投票は有権者が直接投票用紙を投票箱に入れる。

これは20才にならないと投票箱に投票用紙を入れられないという不文律があるからなんだそうだ。

ちなみに誕生日前日に提出する書類などに満年齢を書き込む場合はそのままの実年齢でいいのだとか。
なかなか難しい年齢の計算方法。卵が先かニワトリが先かではないけれど、時間を区切るということは思っている以上にややこしいことのようです。
(こや)