映画館のひじ掛け、左右どっちが自分用?
列車の2人がけ座席。いすが2つでひじ掛けが3つ。さて真ん中の所有権を得るのは……?
映画館に行くと、いつも疑問に思うのが、左右どちらのひじ掛けが、「自分のもの」かということ。
隣席が空いているときは、いいにしても、両側に人がいて、両方とも誰かに使われていることもある。


これ、新幹線や特急列車などでも同様で、出張の多いビジネスマンなどは、「隣席の人がトイレに立つスキにひじ掛けをゲットする」など、ひそかな「ひじ掛け争奪戦」をしているとも聞く。

本当は、左右どっちが自分用なのか。
多数の映画館にイスを納入している老舗メーカー・株式会社コトブキに聞くと、
「左右どちらが自分用というのは、特に設定していません。早い者勝ちです」(広報担当者)ということだった。

では、実際には、左右どちらを使う人が多いのか。
「映画館の話を総合すると、実際には右側を使う人が多いようです。
理由はわかりませんが」
これは利き腕の問題だろうか。

ちなみに、最近は前の座席の背面ではなく、ひじ掛けにドリンクホルダーがついている「一体型」も増えているが、これはワーナーマイカルシネマが日本に出店された1993年からできたものだそうだ。
「前の座席についている場合、起き上がってとらないといけないし、前の人にかけてしまう危険性もあります。さらに、今のシネコンは段差がついていて、前のイスが低いので、背面につけるのはムリがあるんですよ」
とはいえ、このドリンクホルダー一体型だと、ときどき、「ドリンクホルダーは左側で、ひじ掛けは右側を使う」といった欲張りな人もいたりするけど……。
「実は、ひじの問題は、映画館さんでも気にしていて、最近はひじ掛けのスペースを広くして、両側から使えるようにしているところもあるんです。ただ、あまり問題は解消していないようですね。
やっぱり隣の人が知らない人だと、一緒に使うのは抵抗がありますもんね(苦笑)」
確かに、一連の座席のいちばん端だけひじ掛けが細く、「共有部分」になる間のひじ掛けは、端の2倍くらいの幅になっている映画館って、けっこうある。
これ、「2人用」だったのか……。でも、やっぱり他人と共有なんて、ちょっとムリ……。

では、新幹線ではひじ掛け問題をどうしているのか。JR東日本に聞いた。
「新幹線の車両は、いろいろなタイプがありますが、たとえば、E2系0番台のように『2名がけ』『3名がけ』がある車両の場合、2名がけのほうは必ず片側は使用できますよね? 問題は、3名がけですが、これも特に左右どちらが自分用というのはなく、お客様同士でご協力しあってご利用いただければ」と広報担当者。


「いっそひじ掛けを2個ずつつけてくれれば」などという意見も一部であるのだが、
「車両の幅は決まっているので、ひじ掛けを増やすと、座席がどうしても狭くなってしまうんです。ですから、今のところ、検討はしていません」とのこと。そりゃそうか。

なかなか難しい「ひじ掛け問題」。今日も各地で、ひそかに争奪戦が繰り広げられています。
(田幸和歌子)