エレベーターの「閉」ボタンを押すのは日本だけ?
「閉」ボタン、押してますか?
先日、ある子ども向けの本で、こんな気になる記述を見つけた。
「エレベーターの『閉』ボタンを押すのは、日本人だけ!?」

「!?」で終わってるし、何の説明も回答もないのだが、コレ、本当なのだろうか。
社団法人・日本エレベータ協会に聞いてみると……。
「これはよく言われることなんですが、『日本人せっかち論』のようなもので、事実なのかは正直、わからないんですよ」
と、事務局長の井出さん。ただし、各国駐在のエレベーター関係者に聞いたところ、以下のような回答があったと、教えてくれた。
「中国駐在の関係者によると、北京や上海ではほとんどの人が『閉』ボタンを押すようです。東南アジアや中東でも押すようですが、利用者と混雑度合いとの問題と思います。また、ヨーロッパ(オランダやイギリス)では押さないという回答がありました。
ただし、これらはあくまで限られた関係者の回答であって、その国の実態かどうかとは別です。どの国であれ、利用者が急いでいれば押すこともあるでしょうから」

ところで、「閉」ボタンの使用を控えるようにとの注意書きが貼られた時代も過去にあったのだとか。
「昭和48年の石油パニックの時には、エレベーターの『閉』ボタンを押すと、電気代がかかるので、押さないように、ということですが、もともとドアは自動で閉まるわけですから、『閉』ボタンを押しても押さなくても、基本的に電気代は変わりません」

ちなみに、一般的にエレベーターの自動運転では、ドアが開いているのは、約4〜5秒。その間に「閉」ボタンを押せば、それが優先される。
また、車いすが乗りやすいように配慮されている「車いす兼用エレベーター」の場合、車いす専用のボタンが押されたとき、約10秒開いているそうだ。つまり、車いすマークが付いているボタンを「どれでもいいから」と押したりする人もいるが、これが、なかなか来ない原因にもなる。


ところで、先日、ネットの掲示板で、「エレベーターの入り口に立って開閉ボタンを押す人は、余裕がない感じ」などという指摘を見て、ショックを受けたのだが、これって嫌がられる行為だったの? 自分もときどき「エレベーター番」をやってしまうけど、これは周りへの配慮のつもりだったのに……。
「これは個人の判断だと思いますよ。急いでいる人もイライラしている人もいるわけで、乗り降りする人がいないのに、ずっとドアが開いたりしてるのはどうかとも思いますし……」

エレベーターの「閉」ボタンに対する思いは、人それぞれ。お国柄だけでなく、個人個人で違うのかもしれません。
(田幸和歌子)