持っているだけでワクワクする、杉の木のバッグ
(上)「monacca」のバッグの素材はヤナセ杉。その多くは間伐材として打ち捨てられてしまうもの。<br>(中)2007年秋の新作。<br>(下)「comore」。他にこれまで手がけたはとバスの模型やPocket Boardの実物の展示も
バッグの素材といえば、布や皮が定番。そんな既存のバッグとは一線を画す、新しいカタチのバッグを見つけた。
「木のバッグ」だ。

2005年に発売された「monacca(モナッカ)」シリーズのバッグの素材は、なんと高知県のヤナセ杉。表面の杉の木は柔らかな曲線を描き、よく見れば木目の模様もひとつひとつ違う。世界的なデザイン展示会「ミラノサローネ」でも絶賛されたというそのデザインは、モダンで斬新。けれど決して気取った雰囲気はなく、つい触りたくなる人懐っこさも持っている。ほんのり香る木の匂いは、どこか懐かしい感じも。


monaccaを手掛けたのは、プロダクトデザイナーの島村卓実さん。長年にわたり、車からモバイル機器まで幅広い製品のデザインを手がけてきた。monaccaの誕生は、高知県東部にある馬路村(うまじむら)の工場を訪れたのがきっかけ。まるで鉄板のように木が曲げられているのを見て、木の3次元成型のおもしろさや可能性に魅せられた。「この技術を活かした製品を作りたい」と強く思ったのだそう。それも家具や工芸品のようにただ飾っておくものではなく、今の生活スタイルに合い、普段の生活のなかで使えて、楽しく幸せになれるものを――。


開発から完成まで4年かかったというmonaccaのバッグは、素材の使い方の新鮮さだけでなく、実用性にもすぐれている。細部にわたるまで使いやすくデザインされているほか、実際に持ってみるとあまりの軽さに驚くはず。

この11月、monaccaシリーズに待望の新作が登場。ストラップ付きのブラックタイプと、ピンクのアクセントカラーが印象的。また同じく島村さんが手がけている、マンションのベランダで楽しむためのガーデニング用品のブランド「comore(コモレ)」の新商品も東京・原宿のAssistOnで先行発売された。comoreの新作は、葉っぱをモチーフにしたしゃもじのようなスコップや牛乳パックのようなジョウロなど、普段の使っているもののサイズや形が別の新しい使い方に変化した、親しみの持てる形が特長。
素材には軽くて丈夫な竹の集成材を使用している。

これらの発売を記念してAssistOnでは、11月2日〜11月15日の間、展示会を開催中。むかしからある素材を活かしながら、新しい提案をする島村さんの作品たち。ぜひ実際に手にとって、その楽しさや温かさを感じてみてください。

ちなみにAssistOnでは11月16日〜11月29日にはカレンダー&時計の特集を予定。「宇宙からの視点をすべての人へ」をコンセプトとした地球を感じる時計「Think The Earth Watch」のニューモデルのお披露目もあるそうなので、こちらも要チェックです!
(古屋江美子)

「AssistOn / アシストオン」HP
AssistOn「島村卓実 design, 2007 autumn」*AssistOn in Focusvol.23 島村卓実 design, 2007 autumn「むかしからある素材を新しい方法で」