そっぽを向いてるポートレートがオシャレっぽい理由
カメラマンのアドバイスに従って撮ってみた「雑貨雑誌」みたいな写真。腕はともかく、なんとなくそれっぽい?
雑貨やインテリアなどの雑誌を見ると、出てくる人が、ことごとくよそを向いている。

反抗的なわけでも、むくれてるわけでも、失礼なわけでもなく、そっぽを向いてる写真。
どこを見てるのかわからないけど、なんとなく爽やかで、なんとなくゆるやかな雰囲気がある。

対して、ファッション誌などの場合、バッチリ目線が正面を向いていることが多いし、一般誌の場合には、目線を外すにしても、PCに向かったり、何かしているところだったり、「話してる感じで」などというパターンが多い。
匿名・顔出しナシの週刊誌などでは、顔を左右に振ってもらってブラしたり、後ろ姿あるいは手元のアップなどで対応……というパターンが多かったりもする。
また、シェフの場合は、かなりの高確率で腕を組んでもらったり(コネタ既出)するけど……。

雑貨やインテリア雑誌で見られる独特の「そっぽ向き」「あさってのほうを向いた感じ」は、そもそもなぜなんだろうか。

実際、自分が携わる雑貨雑誌を見ても、正面を向いている人物写真は皆無に近い。
理由を編集さんに聞いてみると……。
「やっぱりさりげない雰囲気、自然体の感じ、爽やかな空気感を出すためには、目線をそらした感じのほうが良いんですよ」とのこと。

あくまで「雰囲気」なのだろうか。カメラマンさんにも聞いてみた。
「自然な感じで、『リラックスした時間』というのを演出するためには、やっぱり目線は外しますね。正面を向いて目線アリっていうのは、印象が強いし、そのモデルさんの“個人”を特徴づける感じになってしまうかなと思うんですよ」
特に、「商品」が主役である雑貨やインテリア雑誌の場合、それらが置かれた「風景」だけでなく、自分が実際に使っている「生活の予想図」的なものを描くという意味もあるのかも、とのこと。

なるほど、モデルさんがバッチリ正面を向いている写真では、まずその人ありきになってしまうため、そのアイテムを使った自分、使った生活や時間というのが、想像しにくいというのはあるのかもしれない。

では、雑貨やインテリア雑誌に出てくる人物みたいな「いかにも自然体」の写真を撮るにはどうしたら?
「笑いすぎない自然な笑顔で、ピントは浅く、光は曇りの日のソフトな感じがベストですね。笑顔も、少し顔を左右にそらすか、うつむき加減で。アイテムを使うなら、窓辺、コーヒーカップ、雑誌、チャリンコ、犬、子どもの雑貨などがあれば。あとは、子どもと同伴……とか」

というわけで、やってみたのが、上の写真。子どもを窓辺に立たせて+コーヒーカップを持たせて+うつむき加減で撮ってみました。


やわらかな光が出ないとか、写真の腕はともかく、いつもひどい笑顔で力いっぱいピースしてるわが子が、ちょっとオシャレに見える気が……。どうでしょう? 少し雑貨雑誌っぽくなったでしょうか。
(田幸和歌子)