ペンギン写真はなぜみんな横向きなのか
ペンギンさん、こっちむいて! とはいえ、しっくりくるのはやっぱり横顔。
ペンギンの写真を見るたび、気になるのは、「なぜみんな、横を向いているのか」ということ。
まるで電気ポットを並べたように見えるじゃないか。

魚などはかなり2次元に近い薄っぺらいからだなので、必然的に「横顔」になる確率は高いだろうけど、十分立体なペンギンは、なぜ横顔ばかりなのか。そんなに横顔に自信があるのか!? 確かに可愛いけどさ。
それに、先日、見た岩合光昭氏の写真展でのペンギン写真には、1枚に1000羽近いと思われるペンギンが写っていたにもかかわらず、みんな見事に横を向いていた。
もしかして、ペンギンには揃って同じ方向を向く習性があったりするのか。

「ペンギンのお散歩」で知られる旭山動物園に聞いてみると、
「そんなもの、ないですよ」
とあっさり否定された。
「ペンギンはもともと"集団行動"が基本ではありますが、だからといって、同じ方向を向くわけじゃありません」
じゃ、たとえば、リーダーが右を向けば、みんなそれに従うというようなことは?
「ペンギンには気の強い性格のはいても、リーダーはいないんですよ! ただ、キングペンギンにはエサを求めて一緒に行動する習性があるので、ウチでは『ペンギンの散歩』をやったりしてるんですけど、群れを成して散歩していても、やっぱり1〜2羽は興味のあるところに勝手にいっちゃうんです……(笑)」
一緒に行動していても、向きたい方向は個々で違うそうだ。
そりゃ、そうか。
実際、旭山動物園のHPには、ペンギンの正面顔写真もある。

じゃ、どうして、ペンギンは横向き写真ばっかり目にするんでしょう?
「それは散歩中とか、一緒に動いてるときの写真かもしれないですね。横からの写真のほうがペンギンらしく見えるのもあるだろうし。それに、ペンギンって、正面から見ると、意外と目つきが鋭いからかも」
確かに、正面顔はけっこうコワイ。

ペンギンの横顔写真の多さは、動物的なものよりも、写真的な諸事情があるようでした。

(田幸和歌子)