5円玉をかたどったり、1万円札風の柄がプリントされたチョコ、それからカラフルな銀紙に包まれた海外製のコインチョコなど、お金のお菓子というのは昔からいろいろあるけれど、和同開珎や寛永通宝など、日本の古銭や小判をかたどった、非常に渋いビスケット菓子があった。

「エースコイン」というこのお菓子、実は、今から40年ちょっと前に販売されていたものの復刻版。
「わが国最古の貨幣」といわれる、7世紀後半の富本から、1938年発行の十銭アルミニウム青銅貨まで、20種類の古銭型ビスケットがラインナップされている。
20種類もあると、不勉強ゆえか知らない古銭だらけで、食べながらチェックしていっても、「洪武通宝」や「元豊通宝」、「削頭千」など、存在そのものや、どのぐらいメジャーなものなのか、分からないものだらけである。

発売元の「日清シスコ株式会社」によると、2002年にリニューアルされたのち、今年の2月に再発売されたそうで、一番のウリは、「20種類のコインをかたどった、おもしろさ感です」とのこと。味や古銭のラインナップには変更はないそうである。

元々の発売のきっかけについては、
「昭和39年ごろ、空前のコインブームが到来しまして、小学生から大人まで、幅広い年齢層がコレクターになった時代がありました。そこで、ブームにあやかり、コインにヒントを得まして、古銭をかたどったビスケットが誕生したというわけなんです」

20種類のラインナップの基準については、
「『歴史的特徴が古文書等で確認できる』、『文字、柄がはっきりしたものが現存している』、『ビスケットの型として復元性がある』という3つが、選定基準になっています」
ということなのだそうである。


ほどよい甘さが、どこか懐かしくホッとする感じの味で、サクサク食べながらパッケージの解説を見てチェック、「おっ、これなんだ、『新二十円金貨』、1897年発行。へぇ~」とかいうのが、楽しいお菓子である。

ところで、20種類のコインビスケット、1袋でちゃんとコンプリートされているのだろうか。なんとなく気になったので、その全貌を確認してみた(※商品によって、内容のばらつきはあります)。

1袋に入っていたビスケットは、全部で74枚。ちゃんと20種類すべてが確認できた。

その内訳で、最も多かったのが、760年発行の万年通宝で、実に9枚が入っていた。なんか、この「万年」のヤツが、あまりにもしょっちゅう登場してくるので、「万年、発行しすぎだよ」と、インフレ化した通過だったかのような気持ちにもなってくる。

次に多かったのが、「富本」と、現在の500円硬貨にちょっと似た感じの「桐一銭青銅貨(1916年)」の6枚。
逆に最も少なく、レアビスケ化していたのが1408年発行「永楽通宝」で、1枚しか入っていなかった。こうなると逆に、この「永楽」自体がなんとなく貴重な古銭のような気がしてきたり。

いろんな通貨の名前を知ることができ、ちょっとかしこくなった気分になれるお菓子です。

(太田サトル)

日清シスコ(株)HP