頭を押すと、カチカチと芯が出てくるシャープペンシル、「シャーペン」。学校や職場でお世話になっている人も多いだろう。


でも、このシャーペン、誰もが認める「国民的筆記用具」と言えるだろうか? 聞くところによると、小学校の低学年ではシャーペンが禁止となっている学級があるらしい。また、シャーペンの使用を禁じるテスト会場もあったりと、多くの人に使われているのに、なんだか認められていない気がする。何故なのだろう?
そこで、センター試験を実施している独立法人大学入試センターに話を伺った。

「私どもでは、シャープペンシルの使用を禁止しているというわけではではなく、鉛筆を推奨している形となります。というのも、マークシートの場合、シャープペンシルで記入した解答用紙は正しく認識されない可能性があります。せっかく正しく答えていただいているのに、正しく認識されないと間違いになってしまいます。
ですので、しっかりと認識される鉛筆での記入をお勧めしているのです」
とのこと。

正しく認識しない? それはシャーペンで書かれた文字が薄いからなのだろうか? たしかにシャーペンは「薄い」というイメージがある。しかし、薄かったら濃い芯を使えばいいだけの話ではないか。ということで、三菱鉛筆株式会社にマークシートに適している芯がないかどうか聞いてみた。すると広報の方からこんな回答が。

「マークシートで正しく認識されないというのは、濃さの問題ではないような気がします。
シャープペンシルの芯と鉛筆の芯では作り方が違います。鉛筆のほうは黒鉛と粘土を使って芯を作っておりますが、シャープペンシルの芯は黒鉛と樹脂を使います。シャープペンシルの芯は、鉛筆に比べてかなり細いので、強度を保つために黒鉛と樹脂で作られているのです」

同じような“黒”がでるシャーペンと鉛筆だが、芯に使う素材は異なるとのこと。つまり、それがマークシートの誤認識に影響しているということなのだろうか?

「おっしゃる通り、樹脂を使ったシャープペンシルの芯だと、マークシートで読み取ることができないこともあるようなのです」とのこと。

また、小学校低学年でのシャーペン禁止令についてもコメントを寄せていただいた。

「小学校低学年のお子様というのは、基本的な文字を学ばれますよね。
『とめ』『はね』『はらい』などの日本語独自の書き方を習得する場合、しっかりと持つことができる、太い鉛筆のほうが良いのではと考えております。逆に高学年になっていくと、ノートにたくさん字を書く機会が増えます。その時は細かなところにでも書くことができる、細いシャーペンを使っていただきたいと思っています。ですので、メーカーとしても文字を習い始めのお子さんには、鉛筆で書くようにお勧めしています」とのこと。

今回「シャーペンが認められていない」と憂い、シャーペンについてお話を伺ったが、別にそんなことはなかった。テストで認められないのは、マークシートとの相性。
小学校低学年でのシャーペン禁止は、鉛筆のほうがより学びやすいという理由からだったのである。シャーペンにも鉛筆にもそれぞれ良いところがあるので、それを生かした使い方をするのが良いということなのかもしれない。

ちなみにセンター試験では、メモ用のシャーペンは持ち込み可能だそうです。
(ドープたつま/studio woofoo)