友達に、正月休みは何してたの? と聞いてみたら、「パチンコ三昧」というのが周りに3人ほどいた。何でもパチンコ産業は年間売り上げ30兆円にものぼるらしい。
自動車産業の売り上げが約40兆円というから、その巨大市場ぶりは大変なものである。

そんな風に、新年早々、パチンコについて思いを巡らしてると、ふと、「パチンコ玉って、日本に何個くらいあるのかな?」という疑問がわいてきた。お店に行けばじゃらじゃらと無限に出てくるように思えるあの魅惑の玉、いったい何個くらい存在するのか、調べてみた。

まずやってみたのが、パチンコ店での現地調査。お店にどれくらいのパチンコ玉があるかがわかれば、日本にあるパチンコ玉の総数もわかるかもしれない。客としてパチンコを楽しみつつ、頃合いを見はからってそれとなく店員さんに聞いてみたが、「営業機密ですので……」といって教えてくれない。3店ほど行ってみたがどれもダメ。景品のチョコレートは手に入ったが、情報は得られなかった。

それならば、ということで、パチンコ玉を作っているメーカーに問い合わせてみた。パチンコ玉製造メーカー大手、佐藤鉄工(株)に問い合わせてみたところ、「毎日、約100万個の玉を製造しています」とのこと。年間にすると約4億個。何とも果てしない数字ではないか。
しかし、これはあくまでも毎年新しく作られるパチンコ玉であり、日本に現存するパチンコ玉の総数ではない。

こうなれば自力で計算してやる、ということで、資料を集めて推算してみた。正月ボケの頭をふりしぼって出てきた計算式が、

パチンコ玉の総数=(パチンコ台1台当たりに必要な玉数)×(パチンコ台の総数)

というもの。右辺にある2つの値が分かれば、パチンコ玉の総数がはじき出せるはずだ。

まずひとつ目の「パチンコ台1台あたりに必要な玉数」だが、これは佐藤鉄工(株)の担当者の方より、約10,000発のストックが必要、という情報を教えていただいた。次に、「パチンコ台の総数」だが、これは全日本遊戯事業協同組合連合会の報告書に載っていた。それによると、日本にあるパチンコ台の総数は、2007年11月の時点で約270万台らしい。これらの値から、パチンコ玉の総数を計算してみると……。

パチンコ玉の総数=10,000×2,700,000=27,000,000,000

270億個。とんでもない数字が出てきてしまった。日本の人口を約1億3000万人として、一人あたり約207.6個のパチンコ玉を持っていることになる。

ちなみに、この数のパチンコ玉を一直線に並べると、約30万キロメートルになる。
これは地球と月との距離(約38万キロメートル)にも匹敵する数字である。今回の数字はあくまでも筆者の推論に則った予測値であるから、正確な値とは限らないことに注意していただきたい。とはいえ、そんなに大きくは外していないだろうという自負はある。

この小さな日本列島に、270億個の小さな鉄球が自由気ままに駆け巡っている。それって何か素敵じゃないですか?
(珍満軒/studio woofoo)
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