レッサーパンダが好きだ。動物園で彼らと会うたび、柵の前に掲示されたプロフィールを熟読、自分と同じ誕生日の子はいないかにゃーと胸をときめかせてチェックするのだが、いない。

というより6月生まれのレッサーパンダが、やたら多い気がするのである。

そんな折、以前参加した「よこはま動物園ズーラシア」のイベント、「レッサーパンダの野外教室!」にて、飼育員さんが「レッサーパンダは6月に生まれることが多いんですよ」とおっしゃっており、でしょ? やっぱり? と感激、このコネタを皆さんにぜひお知らせしたいと思った次第であります。

さっそく主要な動物園のサイトを巡り、レッサーパンダ50匹の誕生日を集計してみた。
レッサーパンダの飼育に力を入れる西山動物園のサイトは、彼らの誕生日のほか家系図も充実しており、よい資料とさせていただいた。
また、一世を風靡した風太くん一族の誕生日も忘れずチェック。風太くんに双子の子供がいることはニュースで知っていたが、双子を3セットも儲けていたという事実に改めて驚かされる(レッサーパンダの双子は、特に珍しいわけではないんですね)。


他にも、自分が訪れた動物園で資料が手元にあるものを加算し、50匹分のデータとした。すでにより多くのデータを保有する、先達のレッサーパンダファンには及ばない情報量だが、その作業は私にとって非常に楽しい時間となり、レッサーパンダのデータを集計するリサーチ会社などあれば、ぜひ就職したいと思ってしまった。
集計結果によると、50匹のレッサーパンダの誕生日は、見事に6月1日から7月15日までの範囲に収まった。特に6月下旬への集中度が高く、やはり6月生まれが圧倒的に多い。
星座で言うと、ふたご座とかに座がほとんどということになる。さそり座のレッサーパンダに翻弄されたいと願っても、それは無理というわけだ。


レッサーパンダが生まれる流れについて、ズーラシアのレッサーパンダ飼育担当・田村さんに、改めてお聞きした。
レッサーパンダは多くの動物たちと同様、人間のように1年中妊娠できるのではなく、繁殖期が決まっており、その期間はだいたい1月から3月。妊娠期間は固体によって90日~150日と固体によってバラバラだが、ほとんどの赤ちゃんが6~7月に生まれるのだそう。
では1月に命が宿り、最短の90日後である4月に世界に飛び出る、せっかちなレッサーパンダはいないのかと質問すると、「4月に生まれることはほとんどなく、8月・9月に生まれることなら、まれにあるようです」とのこと。

人間と違い初夏限定で生まれる理由として、「はっきりした理由はわかりませんが、子供のレッサーパンダが竹を食べ始める時期に関係があるのでは」と田村さん。
一般的にレッサーパンダは、春から夏にかけて竹を食べることが少なくなるのだが、秋になると竹が食べやすくなるからか、再びもりもりと食べ始める。
6月頃に生まれたレッサーパンダも、ちょうどそのころ竹を食べられるようになるので、この時期に生まれるのが成長過程に合っているのでは、と教えてくれた。

なお、ズーラシアでは6月27日の「レッサーパンダの野外教室!」(14:00~)の中で、レッサーパンダのデールさんのお誕生日会を行うそう(実際の誕生日は6月19日)。おお、これは家族総出でお祝いしてあげたいところである。
この6月、地球のあちこちでレッサーパンダがぽこぽこ産まれていると思うと、私なぞはハートウォーミングな気持ちになるのだが、いかがだろう。地球、環境、大切にしないとなぁ。
(清水2000)