同様に、携帯電話使用の運転や、傘差し運転なども禁止となっているが、片手での自転車の乗り方というと、ちょっと疑問に思うこと。
かつては自転車に乗るとき、右折・左折時などの合図として「手信号」を指導されていたものだが、今は手信号を全く見かけない。
街中で見かけないばかりか、小学校の交通安全教室などでも指導されていないところが多いけど、いったいいつからなくなったのか。
これもやっぱり「現実的」な観点から?
財団法人日本交通安全教育普及協会に聞いた。
「基本的には、自転車走行時の『手信号』は、今でも教えるのが基本です」
手信号をやらなくなったというわけではなかったのか!
「ただ、技術が未熟な子どもに無理やりやらせると、転ぶ可能性も高く、かえって危険とする声が最近出ております。そのため、指導はするけど、実施はしないというところが増えてきているようです」
確かに、自分なども子どものころ、自転車が下手だったせいもあり、「手信号をすると、よろけてしまって、かえって危ない気がするけどなぁ」と思っていた。
世の中的には、この「手信号はかえって危ない」という声が多いようだが、「やらなくなったのはまだまだ最近、ここ数年ぐらいのもの」と担当者は言う。
でも、かなり前から見なかった気がするけれど……。
「今でも指導方法はなくなっていませんし、実施しているところもありますよ。基本的には自転車にはウィンカーなどありませんから、止まるとき・曲がるときに安全面を考えると、やはり手信号をしたほうが良いというのは変わりません。現実的にやっているところとやっていないところがあるだけです」
これは「地域差」というよりも、全国の交通指導員の判断によるところなのだか。
また、これによく似た話が、横断歩道を渡る際にもあるという。
「昔から『横断歩道を渡るとき、手を挙げて渡りましょう』というのがありましたが、これもなくなってきています。
「手信号をするとかえって危ない」という声が広がり、手信号をしなくなってきた風潮は、現実に沿った判断によるもの。
だが、その一方で、道路の端を走る自転車が、曲がるとき・止まるときに、走行中の車などにわかりやすく意思表示することが重要であるのも、事実。
現実にはなくなっている「手信号」だけど、決して役に立たなくなったわけではないのでした。
(田幸和歌子)