先日、知人と自然派レストランに行く機会があった。
もっと詳しく聞きたかったが、知人はそれ以上のことを知らなかったので、独自の栽培方法で『荒益男ほうれん草』を栽培・販売し、農業技術を追求して美味しさと文化を創造しているジャパン・アグロノミスツ株式会社の農学博士・藤原隆広氏に、質問してみた。
――ほうれん草はオスの方が美味しいのですか?
「残念ながら、ほうれん草に関してはオスの方が美味しいという研究データはありません。というのも、抽だい(とう立ち)したあとは雄雌の違いを判断できるのですが、抽だい前は見た目で雄雌を判断することができないんです。
“オスが美味しい”というのは残念ながら現時点ではただの噂だったようだ。ちなみにほうれん草の雌雄は遺伝的要因と環境要因両方の影響を受けて決まるため、オスの機能とメスの機能の両方を備えた中間型の個体もかなり多く見られるのだそう。
「ただ、偶然にも私たちは今年、抽だいしたほうれん草の大量生産に目処をつけたところです。これは今までのほうれん草とは全く異なり“茎をメインに食べる野菜”としてご提供する予定です。この場合雄雌の区別が付きます。
とのこと。洋食にも和食にも合い、栄養価も高いほうれん草。「葉の状態では雌雄はわからない」と言われたにもかかわらず、ほうれん草を食べるたびに「これはオスなのかな? メスなのかな?」と考えるくせがついてしまった筆者なので、噂の真偽を自分の舌で確かめるべく、来年の春になったら食べ比べてみようと思います。
(磯谷佳江/studio woofoo)