先日、室内に突然、大きな蛾が入ってきた。

追い払おうとする手をのらりくらりとかわしつつ、なかなか出て行ってくれない蛾。
しかも、人が留守の間、平和を謳歌するように飛び回り(想像)、帰宅するや否や、身を隠す。

こんなふうに、いつの間にか居候化されたら、たまらない。
どうしたものかと調べてみると、ネット上でも同じように「大きな蛾の侵入」に悩んでいる人の声は見られた。なかには「室内で発生したのではないか」と恐れている声もあったけれど……。
そんなことってあるの?
害虫駆除相談・殺虫剤などを扱う株式会社イーライフに聞いた。

「室内で蛾が発生することは、確かにあります。
外部からのモノ由来の侵入です。衣服や商品・カバンなどにくっつけて卵を持ち帰り、孵化し、成虫となってとびまわることもあります」
侵入経路はゴキブリと同じパターンか……。

では、追い出すにはどうしたら良いのか。
「蛾の場合、スプレー式の殺虫剤のほか、誘因効果のある捕虫器が有効です。蛾の種類にもよりますが、光に呼び寄せられる蛾の場合、虫の好む光の波長を出し、粘着シートで捕えるタイプです。ただ、ハエや蚊と同じで、そんなにすばしっこくないので、比較的捕まえやすいとは思うのですが……」

室内に侵入した蛾は、食べ物など、どうしているのか。

「チョウバエみたいなもの以外、基本的に生ごみを食べたりすることはなく、室内には食べるものがありません。幼虫の段階では、お米にわく蛾もいますが、成虫になると蜜などを吸うばかりなので、多くは餓死することになります」
つまり、室内にとびこんだは良いが、食べるものがなく、弱っていくのみ。早めに追い出すことは、人間にとっても、蛾にとっても幸せなようだ。

ところで、現在の我が家はマンション8階なのだが、そんな場所にも飛んでくることって、けっこうあるのか。
「大きな蛾で羽がしっかりしているものは、高くまで飛べますが、8階まではまずムリでしょう。蚊などと同じなのですが、マンションの場合、下から上に吹き上げる風があり、風にのって高く飛んでくるというケースはありますね」

余談だが、小学生の頃、学校の登山行事で入った風呂に、フタをあけたら水面ギッシリと蛾が溺れ死んでいたことがある。
まるで「蛾弁当」。楳図かずおの世界のようだった。
もちろん風呂には入れなかったのだが、その一件で、蛾に対する恐怖心が植えつけられてしまった。

とはいえ、実際、毒を持つ蛾はほんの一部だけで、人に危害を加えるわけでもない蛾。侵入されるのは嫌だけれど、特別恐れる必要はない、はずです。
(田幸和歌子)