ケータイやパソコンなど何かと目を酷使することの多い現代人。コンタクトレンズや眼鏡を使っている人もたくさんいますよね。
これらのグッズを作るとき、必要なことといえば……そう、視力検査。「C」が並んだ表(視力表)がおなじみです。

この「C」マークは、正式には「ランドルト環」といい、ご存知のとおり離れたところから環の切れ目を言い当てて視力を計るもの。実は1909年に制定された、全世界共通の視力検査用記号なんです。

ところで、「ランドルト環」の並び順について、気になったことはありませんか? 常に違うパターンだと勝手に思い込んでいるだけで、もしかしたらどこで検査を受けても、いつも同じ順番なのかも!? だとしたら、一度暗記してしまえば次回の検査では視力よりも記憶力が検査されるかも……。いやいや、まさか……。


さっそく、視力表などの医療機器を販売している(株)ナイツに取材。
「並び順に対する規約はとくにありません。そのため、基本的には違う順番だと思いますが、あまり意識して作ってはいません」との衝撃の回答が。
意外にも、ユル~イ感じで作られているものなんですね……。

さすがに同じ切れ目のパターンが何度も続くことはないそうですが、作成者のさじ加減にゆだねられているので、どのようなパターンになるかはその都度変わってきます。ですから、以前受けたときの並び順を意識して検査を受けるというのは、まったく無意味なことなんです。


また、同社によると「現在の視力表は、大きなランドルト環を除いて横に5個の環が並び、縦に14~18個が並ぶ形態が多いのですが、それはすべてJIS規格にのっとっているもの。そのため、メーカーは違っても、形式は同じものになるんです。最近では、環の切れ目はほとんど上下か左右のみ。斜めに切れ目を入れたランドルト環が視力表に用いられていたのは、15~20年ほど前のことになりますよ」という裏話も。昔は「斜め左上」とか「斜め右下」などという向きも存在していましたが、被験者が答えにくいからとの理由でなくなってしまったんだそうです。斜めの切れ目の存在を知っていると、年がばれちゃうかも!

ちなみにこのランドルト環、ひとつひとつの「C」マークの形にも規定があって、円全体の直径:円弧の幅:開いている幅=5:5:1になっているのだとか。
大きなものも小さなものも、すべてこの比率になっているそう。ですから、小さい「C」がはっきり見えないからといって、「切れ目が狭い!」などと文句を言ってはいけませんよ~!
(渡邊詩織/プロップ・アイ)