人のウチの玄関に入ると、その家独特の匂い(臭い?)がする。癒されるようなものだったり、正直「なに、コレ!」みたいな香りだったり……。
実は、訪問者に値踏みされるポイント。

しかしコレを使えば、そこはもう夢の空間。兵庫県の「阪神工業」(TEL:0794‐70‐7281)で開発中なのが、“香りのするコンクリート”だ。

すごくいいアイデアだと思うのだが、どうしてこんなコンクリートを作ろうと思ったのか? 同社に伺ってみた。
「元々、当社は公共事業の発注による業務を主に行っていたのですが、近年はそれも減少してきているんですね。そこで“新しい分野へ”と、社内でアイデアを募集したんです。
すると、女性従業員から『コンクリートから香りがするといいのでは』という提案がされました。コンクリートが持つ“無機質”なイメージを払拭するために、このコンクリートの開発に取り組み始めるようになったんです」
と、2009年9月より着手。

もう、いたる所から香りがするとイイ気分に違いないのだが、特にどんな用途を考えているのだろうか?
「当社の近くにある県立小野高校の生徒や先生にアンケートをとってもらったんです。その結果、トイレやお風呂場などの水周りなどから香りがするといい、という意見が多く見られました」
他には、インテリア用品への活用なども考えているという。

ちなみに気になる作り方だが、コンクリートに香水を混ぜて生成。香りの種類に関しては「市販の香水を使っておりますので、逆に言うと種類の数は数限りなく作れます」(担当者)。
世にある香水の数だけの種類、香りのレパートリーも揃うということだ。

しかし、実用化に至るまでにはまだまだ課題がある。たとえば、香りが保たれる期間。現状では、早いものでは3カ月で香りは消えてしまうとのこと。用途によって変わってくるが、「どこまでいけるのか、と考えております」(担当者)。なるべく長持ちさせたく、奮闘中のようだ。


現在は、5月29~30日に兵庫県小野市内で開催される「全国ハーブサミット」への出展が決定しており、その準備に取りかかっている最中。まだ出展内容については決まっていないのだが、「花の置き物で、そこから花の匂いをつけたオブジェなども考えております」と、まさに夢のある作品になりそう。

何にせよ、今までにないコンクリートになるのは確か。これからの動向を見守っていきたい。
(寺西ジャジューカ)