最近、飲食業界で「泡」の人気が高まっている。泡といっても、シャンパンやスパークリングワインなどの発泡性ワインではない。
いわゆる「エスプーマ」のこと。

スペイン語で「泡」を意味するエスプーマとは、食材をムース状にしたもの。ここ数年、レストランではよく見かけるので、呼び名は知らなくとも食べた経験のある人は多いはず。空気のように軽いふわふわの食感が舌に心地よく、口にしたときの意外性も楽しい。一度食べるとハマる人も多いかも。

そんなエスプーマの生みの親は、世界一予約が取れないといわれるスペインの三つ星レストラン、「エルブリ」のシェフ、フェラン・アドリア氏。
シェフは、ソーダサイフォンを使って食材に亜酸化窒素ガスを添加するという新しい調理法を考案。その技法はまたたく間に世界各地に広まり、いまやシェフのあいだでは定番の調理法になりつつある。

日本でも人気は拡大している。最近では食材を混ぜるだけでOKという簡単なソースベースも登場し、採用する店が増加中。今年2月にキユーピー株式会社が発売した業務用の泡状ソースベース「エスプーマベース」は、卵白を主原料とした泡をそのまま冷凍状態に仕上げたもの。ドレッシングやソース、ジャムなどを混ぜればふわふわの泡ソースが完成する手軽さがうけて、すでに5,000店舗以上の店が導入、1,000種類以上のメニューが誕生しているという。


「発売当初はレストラン、カフェ、居酒屋が導入事例の中心となっていましたが、ホテルやコンビニエンスストア、給食など採用店舗の幅が広がっています」
と同社。業種のみならず用途も広がりつつあり、料理ソースやデザートのほか、ダレ防止として麺用ソースやサラダのドレッシングに使われたりもしているそう。また、実際に導入した店からは「目新しさや見た目の面白さが出て、お客様の反応がよい」「エスプーマメニューが話題となり、リピーターのお客様が増えた」といった声が届いているという。

今後ますます注目が高まりそうな「泡」の料理。ちなみにブームの発端であるエルブリは今年1月、2012年から2年間の閉店を発表。もともと予約をとるのが宝くじ当選並の難しさだったとはいえ、完全にチャンスがないのは残念。
2014年の再開を心待ちにしつつ、まずは日本の泡ブームを楽しんでみては?
(古屋江美子)