小型のペットボトル飲料は、いろんな容量のものがある。
最もよく見る500ml以外に、例えばコンパクトで飲み切りやすい350mlや280ml、お得感が売れた一因になった「いろはす」の520mlなど。
あと他にも、高級路線の商品は、ちょっと少なめの容量で作られてたりする。

そんな中、その存在理由が分からない容量のものがある。それは「490ml」。500mlからたった10ml減らしただけの、500mlとほとんど変わらないサイズ。コンパクトじゃないし、高級路線ってわけでもない。値段も500mlと同じで、お得感もない。


一体どうして、490mlっていうサイズがあるんだろう? 十六茶や若武者などで490mlペットボトルを採用している、アサヒ飲料に話を伺った。

「各社優れたお茶を販売している中、お客様に当社の製品を手に取ってもらう工夫として、容器のデザインや形状で個性を出しているんですね。そのとき、デザイン上の理由で少し細身にしたものなどは、10ml減らす結果になっているかと思います。店の棚に置くことを考えると、500mlを保つために商品を縦に長くするわけにもいきませんし」

また、期間限定のペプシやセブンアップ、プロテインウォーターなどで490mlを採用してる、サントリーにも伺った。
「やはり、それぞれの商品コンセプトをふまえた形の容器を作った結果、490mlになったという理由が大きいです。また炭酸の場合は、飲み切ることを考えると、490mlでも充分な満足感を得られるなどの判断もあるかと思います」

1996年に500mlペットボトルは登場。
それからしばらくは、パッケージの色やデザインで、競合製品との戦いが繰り広げられてきた。それがここ数年、ペットボトルの加工技術が上がったこともあって、ペットボトル自体の形での勝負が激化。その流れの中で、490mlという容量は生まれたようだ。
つまり「490mlにしよう」とか「10ml減らそう」という発想から作られたわけじゃなく、簡単に言えば「ペットボトルの形を工夫しよう」と考えた結果、490mlになったってわけ。

ちなみに自動販売機で買うと、店頭では490mlの製品も、昔ながらの形の500mlペットボトルで出てくる。490mlに限らず、形が個性的なペットボトルは、そういうことが多い。
これは形によって、機械で詰まる可能性があるだけじゃなく、デザイン性を重視したことで、強度が少し下がっているから。自販機の受取口へズドンと落ちるとき、破損する危険がないよう、強度に問題のない普通の形で販売されている。同じ飲み物で2種類のペットボトルがあるのは、そういう理由からだ。

店でいっぱい並んでる飲み物の中から選んでもらえるよう、形を個性的にした結果生まれた、490mlペットボトル。
スタイル良く見せたい気持ちが、10mlのダイエットという結果を生んだみたいです。
(イチカワ)