先日、鍋を楽しんだ後、「シメにラーメンを」と冷蔵庫を探した。だが、肝心の生めんの中華めんが見つからない!
ご飯は食べてしまったし……と思い、ふと見ると、「焼そば袋めん」がある。


ラーメンの中華めんと、焼そばめん。らーめんのほうは表面がやや粉っぽく、焼そばのほうは表面がやや油っぽいなど、厳密には違うけど、鍋のシメに入れるくらいなら案外かわらないんじゃ?
そんな期待を込めて「焼そばめん」を鍋に投入してみたところ、残念ながら、めんはグニャリとしてあまり美味しくない。やっぱり別ものなんですね……。

それにしても、いったいどこが違うのか?
「マルちゃん」ブランドでおなじみの東洋水産に聞いた。
「一般的に、中華めん(ラーメン)と焼そばでは、配合が異なるとともに、中華めんは原料を練って細長い麺状に切ってできあがる『生麺』であるのに対し、焼そばは細長い麺状に切った後、蒸してできあがる『蒸し麺』です」(CSR広報部)
似たような見た目に思えるけれど、言われてみれば、ラーメンの中華めんの品名には「なま中華めん」と書いてあり、焼そばには「蒸し中華めん」とある。
焼そばめんを鍋に入れたら、蒸しめんを煮ることになるから、ぐにゃりとするのも当然だ……。

では、中華めんと焼そばの表面の違いは?
「中華めんは、麺が空気中の水分を吸って、くっつかないようにするために、“打ち粉”をまぶしてあります。焼そばに油がまぶしてあるのは、調理の際、麺をほぐれやすくするためです」
焼そばめんは、ほぐれが悪いと、調理の際に麺が短く切れてしまうのだそうだ。
中華めん、焼そばとも、それぞれの用途に適した麺に仕上げてあるため、 基本的には用途に沿って使うのがベストであるのは言うまでもないこと。

やっぱり鍋に投入するには、中華めんが良いのですよね? と聞くと、こんなご回答が。
「弊社では、鍋の〆専用の『鍋用ラーメン』を発売しております。中華めんは、茹でるとお湯に“打ち粉”が溶け出してきますが、弊社の鍋用ラーメンは、“打ち粉”をしなくても麺がくっつかないような 特殊な製法で作られているため、“打ち粉”の溶けだしがなく、鍋の〆にそのまま入れられるようになっています」
打ち粉の溶けだしがないことで、ドロドロになりがちな鍋のつゆも、最後まで美味しくいただけるのがポイントなのだそうだ。


中華めんと焼そばと鍋用ラーメン。いずれも似て非なるもののようで、やっぱり適材適所があるのでした。
(田幸和歌子)
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