よく、街中でうちわを配ってるじゃないですか。あれ、必ずもらって帰るんですよ。
なんか、得した気分になりません?
そんな事を繰り返していたら、いつの間にか我が家にはうちわが8枚も。(今年収穫した分だけで)

よく考えたら、こんなにいらない。ここらで、決定版を入手しようじゃないか。新潟市の「島工業団地 スマイルプロジェクト」が6月より発売している『新扇組(しんせんぐみ)』が、かなりイイらしいのだ。
これは、言わば“水に浸けて凍らせるうちわ”。色々と通常のそれとは異なった部分があるみたいだから、ざっくりと一つ一つ説明させてください。


まず、このうちわはステンレス製だそう。これを水に浸し、その後は冷凍庫に20~30分入れてしまう。すると、溶けた水滴の気化熱によって冷えた風が放たれるというのだ。
どうですか。アバンギャルドだし、いい事だらけな気がするな! ただ、この域にまで辿り着くのが大変だった。
「まず、重さに苦労しました。
従来のうちわは約30~40グラムしかないんですが、このうちわの試作品は約100グラムあったんです。そこでステンレスの厚みを0.3ミリから0.1ミリに改良したのですが、今度は“ペコ、ペコ、ペコ”と金属音が鳴り止まず、余計に暑苦しさを感じさせるものとなってしまいまして……」(担当者)
最終的に0.2ミリの厚さまでコンパクト化し、重さは約70グラムにまで軽量化してみせた。
しかし、問題は金属音。また透かし模様がある事で風が通り抜けるため、思う程の風量が得られないという課題も残っていた。そこで、今度はうちわに反りを入れてみた。するとようやく金属音は抑えられ、十分な風量の獲得にも成功! 一気に、両方の問題点が解決となったのだ。


そして、もう一つ。このうちわ、あおぎながら香りを楽しむ事もできる。
「取っ手先端のキャップに、アロマオイルを浸たす事ができます。アロマオイルの香りで、優しい“癒しの風”を体感する事ができるんです。アロマオイルを入れた時と入れない時では、印象が全く異なります」(担当者)

ところで、どうしてこのようなうちわを開発したのだろう?
「ある夏のことです。駅のホームで電車を待ちながら、扇子であおいでいました。
しかし、ただ生ぬるい風が当たるだけで全然涼しくない! そんな時、昔の人がうちわに水を浸けて涼を取っていた事を知ったんです」(担当者)
この島工業団地は金属加工を中心とした41社から形成されており、同プロジェクトは日頃から扱っているステンレス材を扱っていた。実はステンレス材には「サビに強い」という特徴があり、同プロジェクトだからこそ「これを冷凍庫で冷やせば、さらに冷たさ(涼しさ)が体感できるかも知れない!」と思い付く事ができたようだ。

そんなこんなで完成となった『新扇組』は今までに2500枚以上を売り上げており、反響も続々と寄せられている。
「瞬間の風の冷たさはもちろん、取っ手の冷たさが手から伝わって涼しさを感じるそうです。あと『アロマオイルを入れた方が、絶対に気持ちいい!』といったお声も頂戴しております」(担当者)

現在は、東急百貨店本店(渋谷)やロフト(渋谷、池袋、横浜)、もしくは各県の百貨店での店頭販売か、同プロジェクトのホームページで、このうちわを購入する事ができる。価格は4,200円(税込み)。

「現時点で約300枚ほどの予約が入っています。また品薄状態なので、増産も検討中です」(担当者)
手作業の工程もあるので、完成までにはかなりの時間がかかるとの事。また、8月末で、今年の『新扇組』販売は締め切られる予定のようだ。

「節電効果」も「冷風」も獲得できる、この新うちわ。これは、決定版でしょう!
(寺西ジャジューカ)