開業前から仏メディアを騒がせていたフランス初の猫カフェ「ル・カフェ・デ・シャ(日本語で猫カフェ)」がついに今月21日にオープンした。場所はファッションに敏感な人々が集まるパリ市内マレ地区だ。
フランスの猫カフェとは一体どのようなところなのか。早速行ってきた。

事前に仏メディアが取り上げたこともあり、オープン初日の店先には開店を待つ人々の列ができていた。初日と2日目は早々に予約客で埋まり、予約なしの飛び込み客は入店できない盛況ぶりだった。パリに住んでいる人だけでなく、息子の誕生日記念として、仏南西部トゥールーズから初日に親子で訪れた客もいた。

メニューはコーヒー(3ユーロ:約400円)や紅茶、ホットチョコレート、ワイン(各5ユーロ:約670円)、シャンパン(8ユーロ:約1070円)といった飲物の他に、タルト(9ユーロ:約1200円)、各種サラダ(10ユーロ:約1300円)などの食事も取れる。
飲食代の他に料金はかからない。

店では猫をストレスから守るためルールを定めている。例えば猫の睡眠を邪魔する行為、猫に食べ物を与える行為、フラッシュ撮影は禁止され、6歳未満の子供は安全上猫に触れられない。

同店のオーナー、マルゴー・ガンデロンさんは、インターネット上で呼びかけ資金を集めるクラウドファウンディングで約4万ユーロ(約530万円)を調達し、残りをいくつかの獣医協会から募って今回の開業にこぎ着けた。店内に12匹いる猫は捨てられていたものや野良だったものを保護団体から譲り受けた。同店は日本の猫カフェをモデルにしたそうだが、ガンデロンさんにうかがうと、彼女自身は日本へは行ったことがなく、ウィーンにある猫カフェ(日本人経営)で体験しただけという。


訪れた時の客は子供連れが多く、他には年配の夫婦や若者カップルなど。猫をじゃらす道具なども店内に備えられ、大人たちにとっては癒しに、子供たちにとっては格好の遊び場になっていた。実際体験してみても、コーヒー1杯でここまで楽しめるのだから満足度は高い。

一方で気になった点もある。開店前に一通りの掃除は行われるものの、猫と子供が遊び回るためすぐに散らかる。また猫が外へ出ないように部屋は密閉気味なので空気が淀んでいる(これらは猫がいるという点で仕方ないのかもしれないが……)。
食事が運ばれるとテーブルの上に乗る猫もいて、カフェ内で取材していた仏メディアからも「猫の隣で食事が提供される衛生面をどう思うか? 」と質問された。

ガンデロンさんによれば、現在欧州ではパリとウィーン(オーストリア)の他にブダペスト(ハンガリー)とサンクトペテルブルク(ロシア)に猫カフェはあるそうだ。同店がパリで成功を収めれば、仏国内や欧州各国で一層広がる可能性もあるだろう。今後の展開に注目したい。
(加藤亨延)