そば好きにはたまらない新そばの季節がやってきた。10~11月は全国各地で新そばの収穫を祝う祭りも目白押しだ。


そんな季節にぜひ食べておきたい一風変わったそばを青森で発見。薄い桃色の麺が上品なムードを醸す「元祖りんごそば」だ。名前のとおり、国産の更科そば粉に、りんごをフリーズドライした粉末を練り込み、青森県産のりんご果汁だけで練り上げたもの。津軽の気候を活かし、自然乾燥させているという。

帰宅後、早速試食してみることに。説明書きによれば、なんでも最初の一口目は何もつけずに食べるのがよいという。
少しモッチリ目の食感の麺はのど越しもよく、後にはりんごのほのかな果実味が感じられる。なんとも繊細で爽やかなテイストだ。続いて付属の「りんご塩」をパラパラふりかけてみると、りんごの風味が一気に引き立ち、豊かな芳香と風味が口のなかにパーッと広がった。初体験の味ではあるが不思議と舌によくなじみ、まさに「りんごそば」と呼ぶにふさわしいテイスト。もちろん通常のそばのように、そばつゆに付ければ、すっきりした味も楽しめる。

りんごそばを製作・販売しているのは、日本一のりんごの里である青森県弘前市に店を構える蕎麦屋「彦庵」。
店主の石戸谷さんに話を聞くと、
「昨年、味は変えずにそのまま水分だけを抜いた良質な県産りんごのフリーズドライ商品と出会い、これを使ってそばが作れないかと検討を始めました」
3カ月の試行錯誤の末、店のメニューとして手打ちのりんごそばをデビューさせたところ、「お土産に持ち帰りたい」「知人に送りたい」といった声が続出。昨年12月から乾麺の販売も開始したという。

商品には青森県産りんごを100%使い、人工的なものは一切使用せずに天然素材のみで仕上げている。
「水をほとんど使わず、麺として成立するギリギリのところまで県産りんごを練り込んだレシピはまさにギリギリのものです。それでも感じられる風味は非常にほのかなものですが、麺料理としての美味しさをとことん追求しました」
乾麺の常識を越えた商品に対する確かな自信がうかがえる。

すでに一度食べてその味にはまり、地方から追加注文をするリピーターも多いそう。
また、りんごそばに付いてくる「りんご塩」も好評で、いまでは「彦庵のりんご塩」(小袋6袋入り/税込315円)として別途販売もしているほど。
「りんごそばにはもちろんのこと、天ぷら等の揚げ物、お刺身やお鮨、冷奴やおにぎりなど、幅広く使っていただけます。見た目もキレイなので、さりげなくお出しするとちょっとしたサプライズになると思いますよ」

商品は、彦庵の店頭やウェブサイトのほか、市内の主なお土産店・県内の一部ホテルなどで販売中。袋入り100g(税込500円)、200g(税込900円)のほかにギフトにぴったりなセットや箱入りもある。いずれも、りんご塩の小袋付き。また、前日までに予約すれば彦庵店内でも手打ちのりんごそばがいただける。


青森の名産が生んだ新たな味覚、ぜひ一度お試しを。
(古屋江美子)