リニア中央新幹線の新駅誘致を推進する奈良市に、とんでもない非公認キャラがいるらしい。その名も「リニー君」だ。全身真っ白の服装にブルーのライン。リニアの先頭車両を模した帽子をかぶり、地面に這いつくばってモゾモゾと進む。腹部には車輪が仕込んである。とにかく写真の印象が強烈でヤバい。

奈良市リニア推進課に「リニー君」について電話で問い合わせてみた。担当者によると「リニー君は職員ではなく、自発的にやっている方なんですよ。本人と直接連絡とってみますか」とのこと。せっかくなので本人に話を聞いてみた。

奈良市のリニア誘致イベントにゲリラ参加



自身のことを「リニアの妖精」と説明するリニー君。リニアになりきる服装は全部手作りだという。ヘルメットにウレタンフォームを張り付け、YouTubeの映像などを参考にリニア新幹線の形状に削り出した。「ほかの作業の合間にコツコツ作りトータルで約1か月かかりました」と話す。

「最初は『コの字型』の白い箱に入っていたんですが、うまくいかず途中で変更して単純な今の服装になりました。ぼく身長182センチでひょろ長いんでリニア新幹線っぽくなるかなと思って。結果的にこっちのほうがインパクトが出てよかったです」

腹部の滑車部分は当初むき出しだったが、車輪だけが出るようにするなど改良を続けている。腰から紐でつないだ「後部車両」は、子どもが乗れる頑丈さだそう。子どもから大人気で「この間のイベントでは6~7人乗ってさすがに動きませんでした」とリニー君は笑う。

それにしても、なぜリニー君として活動するのようになったのか。「中の人」である森山風如さん(42)が、タレントの斉藤雪乃さんのファンで、2015年5月に開催されたイベント「鉄道フェスタinならファミリー」にゲスト出演した斉藤さんを驚かせるため、仮装したのがきっかけだという。

同イベントのときに「『鉄道フェスタ』会場に突然出現した、リニー君。我々スタッフもびっくり!」と奈良市役所リニア推進課のTwitterアカウントがツイートしていたが、このときのゲリラ的な仮装がリニー君としての最初の登場だったのだ。




公式キャラクターである「リニア招き鹿:りにまね」も突如現れた謎のキャラクターに「ぼく、ちょっと嫉妬しちゃうなあ…」とFacebookに書き込んでいる。

会場でかなり反響があり、リニー君はその場で、リニア新駅誘致を盛り上げる『奈良市リニアファン倶楽部』に加入した。現在は応援しているタレントが登場しないイベントにも非公認ながら参加し、「りにまね」と一緒に誘致活動に取り組んでいるという。

ちなみに、リニー君が奈良ではなく大阪に住んでいるのはここだけの秘密だ。
(小島カズヒロ)