ピーナツを食べすぎても鼻血は出ない、じゃあどうなるの?

「ピーナツ」を普段目にする機会といえば、お酒のおつまみとしても人気の「柿ピー」。また、よくおばあちゃんの家に行くと、こたつの上に落花生が殻付きで置かれているイメージもある。

そんなピーナツといえば、昔から食べ過ぎると鼻血が出るという噂がある。しかし、それはまったくの根拠のない嘘だということが、そこかしこで言われている。では、鼻血が出るのが嘘なら、実際どうなるのか。ピーナツに詳しい教授に聞いてみた。

ピーナッツを食べ過ぎるとどうなるの?


ピーナツを食べすぎても鼻血は出ない、じゃあどうなるの?

ピーナッツを食べ過ぎると起こりうるリスクを、ピーナツやナッツ類を研究している慶應義塾大学医学部化学教室の井上浩義教授に聞いてみた。

「ピーナツは、その半分が『脂質(油)』です。従って、100gのピーナツを食べると約580キロカロリーになってしまいます。
これは標準的なおにぎりの3.2個分になります。食べ過ぎると、肥満の原因になります。適度な量は体重によって異なりますが、1日20~30g(約20~30粒)程度が適当です」

井上教授によれば、ピーナツ100gは約100粒程度だという。100粒食べるとおにぎり約3個相当とは驚きだ。

「また、ピーナッツで注意が必要なのはアレルギーです。日本人やアメリカ人で食物性アレルギーといえば、ピーナッツと大豆です。
ピーナッツアレルギーは、年々増加しており、人口比で0.5~1.5%存在するといわれています(Peanuts: Bioactivities and Allergies. NOVA Publishers, New York)」

ピーナツに含まれる栄養素は?


ピーナツのカロリーの高さが明らかになったが、ほかにどのような栄養が含まれているのだろう。井上教授は、次のように説明する。

●オレイン酸・食物繊維の摂取源
「ピーナツはカロリーが高い食材ですが、一方で、約50%含まれる脂質は良質な油であるオレイン酸です。その他にも100gあたり約7.2gの食物繊維が含まれます。日本人男性の一日に必要な食物繊維の量は20g、女性は18g(厚生労働省;日本人の食事摂取基準)ですが、約3g不足しているといわれています。この不足分を補うためには、約40g(約40粒)のピーナツを食べれば良いことになります」

●悪玉コレステロールが下がる
「ピーナツによって血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が下がったという外国の研究がありますが、これらの研究の対象者は毎日80gを食べています。
しかし、対象者の体重は約100kgなので、日本人の体重はその半分とすると、一日約40gで良いことになります。先ほど述べたカロリーのことを合わせて考えると、やはり一日20~30g程度が適当だといえます」

今後、コンビニやスーパーで、おつまみ用にピーナツを袋入りで買うときなどには、グラム数をチェックしたり、食べる個数などを注意したい。
(石原亜香利)

取材協力
井上 浩義(いのうえ・ひろよし)教授
1961年福岡県生まれ、1989年九州大学大学院理学研究科博士課程修了、久留米大学医学部放射性同位元素施設教授などを経て、2008年から慶應義塾大学医学部化学教室教授。医学博士、理学博士。
http://user.keio.ac.jp/~medchem/