かつての日本には、国民的映画と呼ばれるものがあった。その代表が、山田洋二氏監督で故・渥美清さんが主役を演じた「男はつらいよ」シリーズだ。
最終作が公開されてから今年で22年が経過するが、なおも多くの人の心に「寅さん」は生きている。そしてまた、少なからぬ中国人の心の中にも住みついているようだ。
 
 中国メディア・今日頭条は24日「いつになったら、中国でも寅さんのような作品ができるだろうか」とする文章を掲載した。文章の作者は寅さんが好きで、先日初めて日本を訪れた際に東京の寅次郎記念館と山田洋次記念館を訪れたという。
 
 文章は「寅さん好きの理由は、小さい頃の記憶に関係がある。1980年代の日中蜜月期に多くの日本映画が中国にやって来たが、『男はつらいよ』もその1つだったのだ。
湖南省の農村ではこういった舶来の映画を見るチャンスはなかったのだが、都市に住む親戚が土壁の装飾用にと多くの映画ポスターを送ってきてくれた。その大部分が『男はつらいよ』だったのだ」と紹介。その後北京で生活するようになって『男はつらいよ』を鑑賞したところ、人情と男気にあふれる寅さんをすっかり好きになってしまったとしている。
 
 そして「寅さんは故郷を愛する一方で各地を放浪し、しばしば失恋する。彼の善良さ、情熱、心の広さは、日本の庶民が持つ最も素朴な姿を表している。そして、戦後に伝統社会から現代社会にモデルチェンジする中で生きる、典型的な日本人男性のイメージでもあるのだ。
そして、日本各地の美しい景色や文化、風俗が忠実に表現されており、最良の日本観光PR作品と言っても過言ではない」と評した。
 
 そのうえで「中国は広い国土を持ち、多くの人口を抱えている。自然や文化は日本以上に多様性を持っている。いつになったらわれわれも『男はつらいよ』シリーズのように、各地の美しい風景や文化を綴る映画を作ることができるだろうか」としている。
 
 広大な中国全土を主人公が放浪するというのは、設定としてはなかなか難しいかもしれない。しかし、各地の風景や風習をさりげなく盛り込みながら主人公と現地人との心の触れ合いを描くような「中国版寅さん」を、ぜひ見てみたい。
(編集担当:今関忠馬)(イメーシ?写真提供:(C)yokokenchan/123RF)


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