5月から初めてのテレビドラマ化としてWOWOWで放送されている『沈まぬ太陽』。WOWOW開局25周年記念番組ということで、主演に上川隆也、ライバル役に渡部篤郎、その他豪華キャストを迎え、評判も上々だ。
しかしなぜ、この『沈まぬ太陽』は人々の支持を集めるのか。

ベストセラー街道を爆進した「沈まぬ太陽」


『沈まぬ太陽』は、大航空会社の闇の構図、そして労働組合委員長となった主人公をとりまく人間ドラマを描いた山崎豊子原作の長編社会派小説だ。単行本で5巻完結したのが1999年のこと。
発売後は、元々の山崎豊子ファンはもちろんのこと、中年サラリーマンや社会に出たばかりの若者など幅広い層から支持され、5巻全巻がベストセラーとなっている。

「沈まぬ太陽」の主人公に多くの共感が


原作の内容は、社会正義や会社のためを思って組合活動をしていた主人公が、アフリカに左遷されるなど次々にひどい仕打ちを受けながらも、あくまで会社にとどまり、奔走し続けるというもの。途中、航空史上、空前の大惨事と言われたに日航ジャンボ機墜落事故にまつわる会社の構図なども浮き彫りにしている。
この作品が人気なのは、緻密な取材に裏打ちされたノンフィクションのようなリアル感もあるが、何より主人公の前向きな姿勢と、苦境に追い込まれても生き方を曲げない強さなのだろう。


2009年に渡辺謙主演で劇場公開されたものの、舞台があまりに壮大であるためテレビドラマ化は難しいとされてきた同作品。
そんな作品に挑み、映画版では描き切れなかった部分も全20話という中で丁寧に描いているといわれるWOWOWドラマ。今後の視聴率の推移にも期待したいところだ。
(まっさん)

※イメージ画像はamazonより沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]