3月に起きた人気ラジオ番組『誠のサイキック青年団』(朝日放送)の突然の打ち切りと、それに続くパーソナリティ・北野誠の謹慎騒動で、ラジオ業界がざわついている。揺れる関西ラジオ界でいま、何が起こっているのか? 大阪を中心に活躍する歌手で、『大西ユカリのハッスル歌謡曲』(ABCラジオ)、『ナニワ音楽ショウ』(MBSラジオ)などの番組を持つ人気パーソナリティでもある大西ユカリさんに、関西ラジオ界を取り巻く変化とその裏側を聞いた。

──大西さんは長くラジオで活躍されていますが、ラジオといえば、最近北野誠さんの『サイキック青年団』の打ち切り事件がありましたよね。大西さんも番組を持っていた朝日放送での出来事でしたが、あの一件はパーソナリティの方の間でも話題になってますか?

大西 なってますなってます。あれは、一番言うたらあかんことを言うたんちゃうかな、たぶん。脅され方も半端やなかったんちゃうか?(笑) でも、もったいないですよね。北野さん、すごく才能あるし、おもしろい人やし。ああいう番組をほんまはみんな待ってるんやけどね。

ただ、一線を越えないぎりぎりのとこでしゃべっとるのがええのに、北野さんは越えてしまはったんでしょう。やっぱり、本当に言うたらあかんことは、言うたらあかん。

──大西さんがパーソナリティを務めていた番組2つも最近終了しましたが、その理由はなんだったのでしょう?

大西 『ナニワ音楽ショウ』の毎日放送がわりと先に「ごめんなさい。番組終了になります」って言うてきはって。次いで朝日放送の『ハッスル歌謡曲』が終わって。それぞれ「なんでですか?」って理由を聞いたら、「予算ないから」って言われたん。

そんなん言われたらもう身も蓋もないんですけど。「いやー、そんな私よりギャラ安い人雇いはんねやったら、えらい安い番組にしはりますんやね(笑)」なーんて言ってやってやめましたわ(笑)。実際いま残っている番組は、すごい手でギャラが全然かからないような人か、浜村淳さんみたいな超大御所さんか、局アナの番組か。私みたいな、中間にいるパーソナリティの番組がどんどんなくなっていっとる。

──シビアですね。ラジオとお金というところでは、愛川欽也さんが、スポンサーの撤退を理由に『キンキンのサンデー・ラジオ』(文化放送)を終了させた一件も、注目を集めました。

大西 うーん、やっぱり「お金ない」て言われたら、こちらはモノ言えませんよね。スポンサーあっての番組やから。20時~21時台の1時間番組をAMで買うたら、150~200万円とか、だいたいそんなもんでしょ。やらしい話やけど(笑)。骨のある企業が「番組やったるで」ってなったらええのにな。昔は「"ナニソレ"というスポンサーがお送りする"ナントカ"」という(1社提供の)番組がテレビでもラジオでもあったけど、今は、『SMAP×SMAP』(フジテレビ)のロート製薬ぐらいじゃないですか?(笑)スポンサーがつかなくなったとなれば、パーソナリティーがどんだけ力を持ってても、どんなに素敵な曲をかけても、勝てんのですよね。

──そういった、スポンサーのつき方や番組編成の変化など、ラジオを取り巻く環境は長い年月をかけて徐々に変わってきたものなんでしょうか?

大西 変化が起きたのは、この1~2年くらいです。それまではわりと、ラジオも豊かな世界でしたから。番組作ってるときが一番楽しかったですね。新しい番組が始まるときには、構成作家と一緒に作っていくわけですよ。最初は誰からもFAXも来ないですから、リクエスト来たふりとかして。でも、今は全然そうじゃなくて、「何分枠で、この数分間はミュージシャンをたててください」とか「ここでCM何本流さないといけない」「この時間は絶対に時報入れて、○○社提供のニュースが入る」とか、だんだん厳しなってきてるんですよ。

それから、プロデューサーも番組体制もガラッと変わった。それも、全然違う畑から来はるんです。今までテレビやってたような人が、襟立ててラジオ局来るとかね、ほんまスマスマのコントでやってんのそのままやわ(笑)。
後編へつづく/取材・文=朝井麻由美)



●大西ユカリ(おおにし・ゆかり)
1986年、山崎廣明(元「ラッツ&スター」現「ダイナミックス」)、横山剣(元「クールス」現「クレイジーケンバンド」)の薫陶を受け、北米黒人ソウル音楽グループ「CASINO」を結成。本格的な、ゴスペル・R&Bエッセンスを身につけた女性ソウルシンガーとして注目を浴び、様々な団体のゴスペル講師を務める。その他、雑誌連載、TV、ラジオ出演等、関西の顔として精力的に活躍している。

5月21日には「なんばHatch」で、5月24日には日比谷野外音楽堂でのライブを控えている。


●『ウェルカム大阪』(¥1,000・税込) OSAKA元気!レコーズ
好評発売中。大西さんが大阪の平松邦夫市長と街でバッタリ会い、クラブへ行きデュエットをした。そのときに話の流れでCDの話が決まったという。歌好きの平松市長は、クラブでとにかくマイクを離さなかったとか。


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