『弱虫ペダル』に『黒子のバスケ』と、イケメン男子たちによる熱い青春部活ものアニメが話題を集める2013年秋クールアニメですが、女子も負けじとセクシーな青春模様を描く作品が存在しています。それが『ワルキューレロマンツェ』です。

 本作は馬に乗った騎士同士が、すれ違いざまに槍などの武器で相手を倒すという、実在の競技「ジョスト」を題材にした作品で、『ワルキューレロマンツェ 少女騎士物語』というパソコン用アダルトゲームを原作に持つ、いわゆる美少女アニメの一種です。

 ヨーロッパに存在するという架空のジョスト名門校・ウィンフォード学園を舞台に、ジョストの騎士を目指す美少女たちと、騎士を補佐するセコンド的ポジション・ベグライターとして生きることを決意した元騎士・水野貴弘による学園生活を描く、というあらすじの本作。もちろん主人公である貴弘と美少女たちによるハーレムライフが物語の主軸となるわけですが、今回のテレビアニメ化に際し、ジョストについて非常に丁寧な解説が盛り込まれたり、競技シーンをじっくりと描きつつ、彼女たちをベグライターとしてフォローする貴弘のキャラも丁寧に描写することで、一種の青春群像劇として非常に見応えのある作品に仕上がっています。

 特に、もともと普通科の生徒であったメインヒロイン・希咲美が、優れた動体視力と貴弘の優れたハンドリングを武器に騎士としての才能を開花させていくという序盤の展開は、部活もの、バディものとしては王道でありつつ、やはり痛快。

 彼女は初試合の後、ジョストの魅力に目覚めて大会出場を目指すようになると同時に、貴弘を異性として意識するようになっていきます(この辺、ちょびっと『エースをねらえ!』と『あしたのジョー』を足して2で割った的なにおいを感じますね)。美少女ゲーム原作アニメだけあっkて、貴弘のことが気になる女子は美桜だけではありません。

物語が展開するにつれ、言わば「ハーレムもの」的な様相を呈してくることはこの手の作品としては必然なのですが、なんといっても貴弘は「デキる男」です。毎回、嫌味なく的確なアドバイスとサポートで女子の悩みを解決すると同時に、美少女騎士たちのハートをゲットしていきます。「気が付くとなぜかモテモテ」という不自然な展開が多めなこの手の作品にしては珍しく、そのモテっぷりに納得できる稀有なキャラクターとなっています。

 時折、過剰なセクシー描写も飛び出してくるので、さすがに小さなお友達に見せることはためらわれますが(ヒロインたちが全裸で「しゃせい」をやたらと連呼する第7話は爆笑モノでした)、どちらかというとコメディ要素として扱われているので、そこまでいやらしく感じられない点も、スタッフの絶妙なバランス感覚がうかがえて好印象です。ノリは80年代の「月刊少年ジャンプ」(集英社)に載ってたような、お色気成分強めのスポ根漫画的な感じでしょうか。

 現在、物語はジョスト大会に突入。

騎士の頂点を目指して、美少女騎士たちの熱い一騎討ちが描かれています。これから物語はクライマックスに向けて、ますます熱を帯びていくこと必至です。

 CGとセルを組み合わせた迫力のジョストシーンに熱くなるも良し。重厚な鎧の隙間から見え隠れする女子の柔肌にハァハァするも良し。清水愛、田口宏子、中村檜里子、今井麻美生天目仁美、水橋かおりなど、原作ゲーム出演者とそっくりな声を持つ豪華な女性声優陣の競演に萌えるも良しな本作は、まさしく今クールアニメのダークホース! ぜひともスピンアウト作『More&More』のエピソードを補完する続編も期待したいところです!
(文=龍崎珠樹)