バルスが、9月1日付で社名を主軸ブランドと同名の「Francfranc」に変更した。近年は閉店が相次いだほか、他のブランド展開を終了・譲渡するなどの動きが目立っていたが、デビューから25周年を迎えたフランフランに集中し更に成長させていくための施策としている。

ブランドを一本化した同社の今後のプランとは。




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 同社は、1992年7月にフランフラン1号店を出店。デザイン性の高さが人気を集め、2002年7月にジャスダック市場に上場し、翌年に香港進出を果たした。2005年2月には東京証券取引所第二部に株式を上場し、2006年1月に第一部に指定替え。2011年2月には新規のサーフスタイルブランド「ダブルティー(WTW)」1号店を出店し、フランフランに留まらない事業展開にも挑戦した。2012年1月にMBOにより上場廃止し、2013年12月にセブン&アイ・ホールディングスと資本業務提携契約を結びグループ会社化

近年は店舗の閉店が目立ち、WTWは青山商事に譲渡するなど縮小傾向という見方が強かった。


 同社によると、展開店舗の縮小は「デジタル化が進むなど環境が大きく変化していくなかで、25周年の節目に"量より質"を重視した」という戦略の一貫。家具に特化した「ラグ バイ フランフラン(L・A・G by Francfranc)」や、カフェを併設した館「フランフラン ヴィレッジ(Francfranc Village)」、アクティブで感度の高い女性に向けた「ラ ブティック ドゥ ラ メゾン(La Boutique DE LA MAISON)」などさまざまな業態やブランドを展開してきたが、これらを廃止し、フランフランの成長に注力していく。


 具体的には、「ユニセックスへのシフト」「既存店の刷新」「接客のクオリティー向上」「デジタルマーケティングの強化」を掲げる。アイテムについては、これまで「ピンク」や「花柄」といったデザインのアイテムが店頭やプロモーションに活用されていたため、"女性向け"や"可愛い"イメージが浸透していたが、今後はユニセックスにシフト。これまでのテイストは残しつつ、男性や家族で使えるようなデザインを今シーズンから徐々に拡充していく。

また、新ライン「マスターレシピ(Masterrecipe)」が9月8日にデビューし、上質なアイテムを展開する。


 既存店については順次見直しを図り、すでにリニューアルが完了している梅田店ではVRを活用した商品のコーディネートサービスを提供。9月29日にリニューアルオープンする南青山の「ラウンジ バイ フランフラン(LOUNGE by Francfranc)」は「フランフラン 青山店」に名称を変更し、VRサービスを関東エリアで初導入するほか、イベントスペースを設け情報発信拠点と位置付ける。新規出店にも意欲的で、「デジタル化が進んだこと、実物を見なくても購入するお客様が増えたことで、全ての商品を見せる必要はなくなった」という考えから、オンラインと連携した取り組みを検討しているほか、接客の質を向上することで競合他社と差異化を図るという。


 大型家具業界では撤退する企業の動きもあるが、同社は引き続きインテリア雑貨とともに家具も展開し、生活シーンを提案していく考え。今後は日本だけではなく、世界に通用するブランドになることを視野に入れていくという。