記録的な大雪となった2月8日、新宿バルト9で『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』の初日舞台挨拶が行われた(全国の映画館でライブビューイングも開催)。
登壇したのは11人。
伊瀬が「ヒーローとキャストが重なって見えてしまう」と言う。深く頷く客席。声優陣が喋る向こう側にキャラ絵が見えるぞー。
■成長と深まる絆
『The Rising』はテレビシリーズ最終話、タイガーとバーナビーが二部リーグに復帰した後の完全新作。テレビシリーズや劇場版第1作『The Beginning』で描かれたキャラクターたちの成長や絆が描かれている。
森田「今までバニーは過去に囚われながらずっと生きてきた。でも今回は未来に向けて考えるようになって。3年やってきてこういうバーナビーは初めてだったので、『新TIGER & BUNNY』をやっているような気持ちで演じました。新バディのライアンとの関係の中でも微妙に違うバーナビーが出てきたと思います。
寿「女子チーム3人(ブルーローズ・ドラゴンキッド・ファイヤーエンブレム)の絆を見てもらえたかなと思います」
津田「ブルーローズとキッドがまあかわいいことかわいいこと! チーム戦で、それぞれのチームの絆が描かれています」
井上「折紙ロックハイ(折紙サイクロン・ロックバイソン・スカイハイ)の3人も、飲みに行ってたり、一緒に活動できてます!」
中村「映像もすごい。ブルーローズのお尻がすごくよかった」
岡本「どのキャラも成長してるんですけど、客観的に見て一番成長したなって思うのが楓ちゃんで。……すげー色気あるなって……」
中村「邪念に満ちてるね!」
平田「君、人のこと言えないよ!?」
■真似ブーム
キャラの変化は成長だけではない。『The Rising』のロックバイソンはいろいろ思い悩んでいる。盟友虎徹がいなくなり人気も低迷する中で、キャラを模索し、他のヒーローたちのキメ台詞をコッソリ使っているのだ。その設定をうけて舞台挨拶でもモノマネの応酬が飛び出す。
例1:「俺のハートはけっこうワイルド、お前の悪事をぷんぷん怒るど?」(平田)
例2:「ワイルドに食べるぜ!(すき家を)」(楠)
楠「今回台本もらって見てみたら、ロックバイソンはけっこう迷走してるんですよ。何個かいろいろやってみた。気が付きましたか?『サーッ!』(ドラゴンキッドの掛け声)とか。試写で隣の茉莉也がクスッて笑ったから、やったぁって」
遊佐「あのですね、僕は『The Rising』に賭ける思いは並々ならぬものがあったんです。『The Beginning』の登場はほぼワンシーン。『バーナビーさん』って呼びだして、ちょっとやりとりしたあとは『…この程度か(フンッ)』。
楠「リアクションしてよ!」
遊佐「こっそり『この程度か』って思ってましたっ」
■ライアンはキューピッド
強い絆で結ばれたヒーローたちの中にやってくる新キャラクター・ゴールデンライアン。演じた中村がライアンの役目について話す。
中村「見終わってわかりました。……キューピッドなんですね!」
(大きな拍手が起こる。ちょっと複雑そうな照れ笑いの平田と森田)
中村「アフレコのときって自分の役がどうあるべきかを考えてるから、客観視できない。あとで作品を客観視したときに、『あっ、最後のこの言葉を言うために出てきてるんだ!』とわかる。あの一言でバーナビーもちょっと……まあ、素直になりきらなかったですけどね」
伊瀬「ライアンは通して見ると『こんなにイヤなやつだったんだ!』って思う。でも最終的にはライアンのおかげで、タイガーとバニーの絆が深まったし、改めてヒーローみんなのことがほんとに大好きだって思いました」
中村「そうなんです。僕のおかげで。僕のおかげなんです」
■井上いじり
キメキメの服装でやってきていた声優陣。ただし、井上はパーカー+ジーンズのキーススタイル、つまりめちゃくちゃカジュアルな服装でやってきた(登場した瞬間笑いが起こった)。
井上「ほんとあの……カジュアルですみません……。Twitterでファンのフォロワーの人に相談したら『最近の舞台挨拶、けっこうみなさんカジュアルですよ?』って」
楠「なんでオレたちに相談しねーんだよっ」
井上「どうしてこうなったのか……。すみませんっ。それだけです!………あっ(何かを言いかけて、やめる。妙な間)」
平田「~~~なんだよ!!」
井上「今日は! 来てくれて! ありがとう! そして! ありがとう!」
スカイハイのような天然っぷりを振り回す井上。この発言からさらに10分後、再び話を振られた井上は、滝のような汗をかいていた(井上、こういう場だといつも汗をかいている気がする)。
伊瀬「すごい汗!」(客席から悲鳴が上がる)
井上「スカイハイなんですけど、彼は何年経とうが、何ヵ月経とうが…(客席から忍び笑い)なに笑ってるんだよ~」
津田「面白いからだよ!」
井上「そうですかっ。ありがたい! 彼は何年経ってもあのキャラクターだと思うんですけど、折紙ロックハイのみんなとの関わりもあって。キースというキャラクターの幅が広がったなと思ってますっ。いやー、テレビシリーズと、劇場版二本ありましたけど、なんでしょうね、チームというか……ティームというか……すごい、なんか……(滝のように汗をかきながら)」
平田「こんなにドキドキする舞台挨拶初めてだよ!」
伊瀬「井上さん、がんばって!」
井上「とにかく僕は一体感を感じたんだ!」
■お姫様だっこ未遂の真相
平田「(「見所は?」と指名されて)……全然考えてなかったな……」
森田「さっき説明したじゃないですか、一言ありますよって」
平田「みなさんどうですか、楽しんでいただけましたよねっ?(客席から「はーい!」の声)」
森田「向こうに聞くんだ!?」
平田「僕の感想を言います! とっても楽しかったです! あっ。みんなに聞きたかったんだ。映画始まって早々に、二部リーグで大活躍する虎徹が屋根の上からおっこちる。
森田「なんでこないんだよっ!」(米たに監督に向かって)
平田「お前だ、お前!」
森田「いやー、監督に聞かないと」
バーナビーは「ちょっとした用事」があってタイガーの落下現場に間に合わない。その理由を、米たに監督があとからフォローする。
米たに「シナリオ段階では、実はバーナビーが孤児院に行っていて。それで遅刻するというくだりがあったんです。それでだっこできなかった」
森田「ほらね、いい話でしょ?」
平田「何にも言えないよ、孤児院じゃ。痛かったんだぁー、ここ…(肘を指さす)」
森田「虎徹さんが犯人を追いかけて、穴に落ちるときに、犯人を『トンっ』って押し上げますよね。あそこに優しさを感じたり……」
平田「(照れる)」
森田「いや、平田さんじゃなくて!」
ちなみに平田が印象に残った台詞は、最後の最後虎徹の背中を押した、「がむしゃら」から始まる言葉。声を当てたのは『The Rising』でデビューした、絵を描かせるとめちゃくちゃうまいおじさん(つまりキャラクターデザインの桂正和)。
『The Rising』は直球かつ大人のエンターテイメント作品。これまでのタイバニファンはもちろん、知らない人でも楽しめる(『The Beginning』を見ておくとより楽しめる)。
米たに「またみなさんの笑顔に再会できて嬉しいです。何年もかけて、魂をこめてスタッフと一緒に作りました。
平田「初心に戻って『おじさんたちにもっと元気をつけていただきたい』と改めて思った映画でした。ぜひお近くのおっさんにも勧めていただければ」
津田「男は度胸、女は愛嬌、『TIGER & BUNNY』は何か知ってる?」
最強よー!
(青柳美帆子)
『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』
全国大ヒット上映中!
(C)SUNRISE/T&B MOVIE PARTNERS 配給:松竹/ティ・ジョイ