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「ごめんね青春!」想像の斜め上行く宮藤官九郎脚本、うしろめたさ→うしろメタファー!6話

2014年11月23日 11時00分

ライター情報:木俣冬

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『俺だって子供だ! 』文春文庫/宮藤官九郎  

日曜劇場「ごめんね青春!」(TBS日曜夜9時〜)の第6回は、男女合併・聖駿高校の駅伝参加を描いた抱腹絶倒回でした。
ゆるキャラ・みしまるくんを使った取り違え展開が、かわいいやらバカバカしいやらで楽しめましたが(みしまるくんのもの言わぬ笑顔がなんとも言えないんですよね)、
なんといってもこの回、秀逸だったのは菩薩(森下愛子)の「うしろメタファー」でしょう。

高校時代、自分の迂闊な行為によって、礼拝堂を燃やしてしまった(それが三女ととんこーの確執の発端になった)ことを誰にも言えずにいる平助(錦戸亮)と、ドンマイ先生(坂井真紀)と禁断の恋に堕ちてしまった一平(えなりかずき)の前に、亡くなった母が菩薩となって現れるのは彼らの「うしろめたさ」の表れでした。
それを「うしろメタファー」とダジャレにしてしまう宮藤官九郎の書くものは、予想の斜め斜め斜め上をいき、もはや角度がよくわからないくらいです。

【メタファー】暗喩。物事を直接的でない方法でたとえること。なわけですが、
「ごめんね青春!」の男子校女子校の合併も、言ってしまえば、男女の恋愛のメタファーですよね。
そして、シスター吉井(斉藤由貴)が「神々しい」と感動した駅伝だって、男と女の共同作業、恋愛や結婚みたいなものの暗喩と考えられるのです。

「いじめも体罰も学級崩壊もなく、ただ漫然と1クールを描き切る」というこのドラマ、いじめも体罰も学級崩壊もありませんが「ラブ」だけはいっぱいです。
駅伝中、選手たちの状況が菩薩によって説明されますが、ほぼ全員、恋愛問題によって、走るモチベーションが上がったり下がったりしていました。
あまりん(森川葵)の度がすぎる恋愛体質に翻弄され続けて疲れてしまった半田くん(鈴木貴之)が、思いあまってゲイの可能性にかけてみようと極端な行動に出るとか、クイズの才能に惚れて遠藤ちゃん(富山えり子)を好きになる昭島(白洲迅)が、神保(川栄李奈)に迫られて「レベル的には三択のひっかけなんだよ」とたとえて断るのも良かった。「恋愛体質筋肉質」とか言葉の選び方がよくて、いちいち気持ちが上がります。
成田くん(船崎良)が「高校生男子の知識と経験ではとても処理できないもの」によって転んでしまうのも微笑ましい。

こうやって、描かれる高校生のラブは、すぐ好きになって、すぐ「無理」になって、くっついたり離れたりするというとっても原始的なもので、要するに身もふたもない、生物的欲望──合併、いや合体したい的な感情です(クイズ王同士の恋だけそうでもない気がしますが)。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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