そうだ京都、行こう。
またこのCMが流れ始めました。

キレイな風景(春は桜)、音楽、長塚京三さんの声の三位一体の、そうだ京都、マジック。
これ、春夏秋冬やっているものだから、脳内がそうだ京都、でいっぱいになっていたところ、京都移住茶論という催しがあるのを知り、のぞいてみました。

京都移住茶論は、京都で暮らしたい人を応援するプロジェクト・京都移住計画が主催する、京都に暮らす人・京都で暮らしたい人・京都が好きな人の交流会。京都では月1ペースで行って、既に17回目で、東京で出張開催されるのは、今回で2回目。参加者を募集したら、1日で定員40人がすぐに埋まって、追加募集もしたほど反響があったそうです。
参加者の内訳は、京都出身の方が5人くらい、移住を考えている人が半数で、そのうち半分が今年中に実現を考えていて、けっこうマジな空気が漂っていました。

2、30代の人が多かったですが、もうすこし上の世代の方も混ざっていたと思います(私含め)。主催の方いわく、40代以上の京都移住希望は多く、その方達向けのイベントは多いので、あえて若い方々のための移住計画をやっているとか。
2月5日に総務省が公表した2014年の都道府県内人口移動者数から、東京圏への転入者が転出者を上回る「転入超過」数が3年連続増加し、東京に一極集中している状況であることがわかっており、そういう状況下といっても、こういった若い世代による地方都市移住プロジェクトは着々行われており、京都移住計画にインスパイアされて、現在、福岡、岩手、新潟移住計画がフランチャイズのように誕生しているそうです。

今回は、移住計画のメンバーで現在京都在住の田村篤史さんと岸本千佳さんと、もうひとり、
もうすぐ京都に移住する近藤貴馬さんが体験談を語ってくれました。
岸本さんは、阿闍梨餅を京都から買ってきて、梅茶と共に振る舞ってくださり、それをいただきほっこりしながらお話を聞きました。
なぜひとは京都をめざし、住みたがるのか「京都移住茶論」レポ
写真左・岸本さん 右・田村さん

なぜひとは京都をめざし、住みたがるのか「京都移住茶論」レポ

田村さんは 「京都移住計画」という書籍の著者。
京都生まれで、東京で就職していたけれど、3.11東日本大震災をきっかけに東京以外の場所で生活する可能性を考え、京都にリターン。そこで、京都で暮らしたい人たちを応援する仕事をはじめました。
「衣食住」ならぬ「居職住」の応援をしていて、「職」に当たる、お仕事フェスin Tokyoなどのイベントも行っています。「住」の部分では、最近、京都市内だけでなく舞鶴などの海側や山のほうの京都で住む提案にも力を入れています。

岸本さんは主に「住」の担当で、フリーで不動産業をやっていて、その仕事は最近NHKでも紹介されました。古い町家や団地を活用する活動などをやっています。
彼女も東京で仕事をしていましたが去年京都に戻って仕事を着々増やしているのです。

近藤さんも京都生まれで、東京で就職していましたが、戻って実家の青果店を継ぐことにして、今、空き家だった祖父母の家をリノベーション中。近藤さんは、地方都市の農家の子供が東京で実家の農産物を売るセガレ・セガールの活動に参加しています。
なぜひとは京都をめざし、住みたがるのか「京都移住茶論」レポ
熱心に聞き入る参加者たち 写真左・近藤さん

なぜひとは京都をめざし、住みたがるのか「京都移住茶論」レポ
近藤さんの京都移住に当たっての問題点を図に

3人の話からわかったのは、住む場所はなんとかなる。東京よりも若干家賃は安い。仕事が東京よりは少ないようですが、自分の得意分野と世間のニーズとを念頭に入れて、自分ならではの仕事を見つけることができそう。
東京だと、お金はそれなりに稼げても、自分じゃなくてもいい、人数合わせみたいな感じになりがちですからね。
血縁地縁がない不安はあれど、その時こそこういった移住計画のイベントで、人に出会って、自分のしたいことを語り合えばいい。
印象に残ったのは、田村さんが引用した「若者よ、故郷に帰れ。その町の市場へ行き、その町の人のために料理を作りなさい」という言葉です。
京都は、観光都市のイメージも強く、実際、行けば見るものがたくさんあって刺激を受けるものの、その町の市場で食材を買ったり、誰かとそれをシェアしたり、生活することからまずはじめることを忘れてはいけないのだあと。

岸本さんは、京都で仕事するようになって、お弁当を作るようになったと言います。
そういう精神的余裕も地方都市にはあるようです。京都は東京みたいに電車が激混みすることはあまりなく、市内なら自転車やバスを活用して移動は簡単。自分をすり減らさなくて済みそうです。

ただ、やっぱり、気になる地元の方々とのおつきあい問題。京都の人は閉鎖的とも言われますがどうなの? という疑問には、「時間はかかる」と岸本さんも田村さんも口を揃えて言いました。岸本さんいわく「京都の人は黙って見てる感じが強い。
根っから“イケズ”ではないと思う。時間をかけて真摯に姿勢を見せたら問題ない」だそうです。
なぜひとは京都をめざし、住みたがるのか「京都移住茶論」レポ
岸本さんが、京都に住んでよかったと思っていることを列挙したもの

この移住茶論、今回、京都にリターンした方たちばかりだったので、京都に血縁のいない人のケースがなかったのはちょっと残念でしたが、訊けば、近藤さんの奥様は関東の方で、京都で暮らすことに対して躊躇はなかったのか、今度はそういう話も伺ってみたいと思いました。

京都移住実践したくなった人へのアドバイスとして、まず、仕事を見つけてそれから住まいが安心だけれど、来てしまってから仕事みつける人も多いそう。シェアハウスの仮住まいでその間、仕事を探すという手もあると聞くと、なんとかなる! 行動あるのみ。と背中を押された感じです。
もうすぐ春。引っ越ししたい季節ですし、京都移住、いかがですか?(木俣冬)