「どうも。今日から散歩します、ジュンジ・クルーニーです」
「今日は朝起きた時に大雨だったんで来るのやめようと思いましたけど」
「とりあえずバス乗ってバスの旅にしちゃいますか?」

なんだかんだ言いつつ高田純次は朝の有楽町へ。
9月28日より始まったテレビ朝日『じゅん散歩』、番組初回のオープニングである。

地井武男『ちい散歩』、加山雄三『ゆうゆう散歩』に続く三代目の散歩番組となる『じゅん散歩』。「5時から男」が平日朝の帯番組に登場というだけで、『元気が出るテレビ』で育ったアラフォー世代としては時の流れを感じずにいられない。芸能人の家で早朝からバズーカをぶっ放し、清川虹子の高価な指輪を本人の目の前で口に放り込んだ(その後ガムにつけて出した)、あの高田純次である。そんな早い時間から大丈夫なのだろうか。
高田純次が不安になってる「じゅん散歩」テキトー節は相手を突き放す
高田純次『適当経典』(河出文庫)

不安そうな高田純次


散歩のスタートは有楽町マリオンのからくり時計から。番組スタート時刻と同様の9時55分をさしている。「生放送じゃないですよ」と念を押し、オープニングトークでは往年のテキトー節が炸裂してた高田純次。しかし、そのあと一人で散歩に出かけると不安な姿を見せる。

「昼間の有楽町って来たことないからなぁ……」「車ではよく通るんだけどな……」とつぶやきながら歩き、24時間営業の食堂から猛烈アピールされても上手く対応できず身を引く。新有楽町ビルに入ってみるも「いいのかな……?」と辺りを見渡し、「コーヒーの一つも飲みたいけど、いきなりコーヒーってのも……」とためらう。

高田純次、まだ「散歩」のフォーマットに慣れていないように見える。一人で街を歩き、一人でしゃべる。
カメラは後ろをついてくるだけ。何を見るか、誰と話すか、どこに入るかも自分で決めないといけない。もちろん台本はない。さらに放送は「平日朝10時」というのも頭に入れておかねばならない。考えることが多いのだ。オープニングが軽妙だったのは事前に練ることができたから、とも言える。

高田純次には「テキトー」のイメージが強いが、『じゅん散歩』は今なら「慣れないことを手探りでなんとかしようとする高田純次」を観ることができる。


ツカミで始まって突き放して終わる会話


そんな戸惑いを見せる高田純次だが、街の人と絡み始めるとやはりイキイキし始める。

この日はベンチャー企業、純喫茶、公園で昼休みにボクシングをしているサラリーマン2人組と絡んでいる。会話を観察すると、高田純次のコミュニケーションは必ず最初に「ツカミ」を持ってくる。

(純喫茶の看板を見ながら)「これお金と交換に食べさせてくれるの?」
(ボクシングをしているサラリーマンに近づきながら)「今度の世界戦がんばってくださいよ。相手モハメド・アリだっけ?ね?」

ツカミは初対面の場を和ませるのは言わずもがな。
さらに高田純次は、去り際にも必ずひと笑い入れてくる。

(ベンチャー社長に)「社長名前なんていうの?五十嵐さん?そうだろうと思ったよ」
(サラリーマンに)「君たちお昼どう?食べた?食べてないの?じゃぁ、2人で食べに行ってください」

去り際の笑いのほうは相手を突き放すタイプのジョークになっている。「君ジュリア・ロバーツに似てるよね。知らないけど」といった高田純次のテキトー節は、突き放すことで会話の流れが切れるので、ツッコミによって会話をつなげる必要がある。しかし街歩きではツッコミはいない。その結果、出会いにひと区切りつける役割を果たしていてる。

初対面の人に何人も話しかける必要がある散歩番組で、後を引かずにスッと去ることができるのは大きなメリットだ。高田純次のコミュニケーションは、案外街歩きに向いているのではないだろうか。


まだ番組はスタートしたばかり。フォーマットに慣れ、ガンガン街を歩くようになったらさらに無敵になりそうな『じゅん散歩』。なんとなく公園の車止めをグルっと回ってから歩いてみるなど、手探り状態の高田純次を観たいなら今のうちに録画予約をしたほうがいい。

(井上マサキ)
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