【109話はこんな話】
新次郎(玉木宏)とあさ(波瑠)は、夫婦水入らずで、はつ(宮崎あおい/崎の大は立)がいる和歌山へ旅に出た。

はつのエピソードが視聴率1、2位を獲得
18週、107回、はつが、勝手に大阪に来た息子・藍之助(森下大地)を連れ戻す回は視聴率が26.5%と、これまでで2番目の高さを記録した。最高は27.2%で、はつが和歌山に旅立った59回。1、2がはつのエピソードで、彼女の人気を感じさせながら、今週19週は、はつ週ともいえる和歌山編だ。
なんで、はつが人気なのかと考えたら、あさとはつは、ふたりでひとりなところがあるからだろう。
言ってしまえば、あさが朝(光)で、はつは夜(影)。
あさの成功人生だけがすべてではなく、もうひとつの人生をはつが担っていることが、見る者をホッとさせるのだ。
今回、あさと新次郎が和歌山に旅に出ることは、もうひとつの人生を見る旅だ。
夫婦水要らずの旅は、ふたりにとっても視聴者にとっても、息抜きになり、ふたりのおとぼけ会話などが大変楽しめる。あさがはじめての夫婦旅にドキドキして眠れなかったと言うと、「わてより早く寝てた」と指摘する新次郎の会話など愉快だ。
だがそれだけではない必然がそこにはある。新次郎が、娘千代(小芝風花)に外の世界を見せようと京都の女学校に行かせたことと似た理由が、ふたりの旅にはあるのではないか。
はじめて行く和歌山の有田は、あさと新次郎の暮らす大阪とはまるで違う。
風を防ぐ建物のない土地、洋服を知らない子どもたち、サバのかき混ぜ飯など大阪とは違う食べ物、お琴を教えている菊(萬田久子)とはつ、誰よりも勉強ができる藍之助(森下大地)がその能力をこの土地ではフルでは生かせないこと、徳川の威光がなくなったことで苦労しているみかんの商いなど、あさが大股で闊歩しながらもぎ取ってきたものとは違う人生が、和歌山にはある。
また、和歌山から見たあさの活躍っぷりの凄さが語られることで、改めて、あさの存在の特異さもわかる。
いろいろなことを噛み締めながら、ドラマは後半へと向かっていく。
今日のしみじみ
おなごは働き者。
夫婦の旅についてこなくていい、ゆっくり安めと言われたうめ(友近)は、することがないと途方に暮れる。一日遊んだり、「だら〜ん」とすることなど考えられないのだ。
おなごが男と一緒に外でも働くようになった暁には、おなごが「だら〜ん」とする革命が必要なのではないか。
(木俣冬)