週刊少年ジャンプで連載中の原作・附田祐斗、作画・佐伯俊のコンビによる人気マンガの第2シリーズ「食戟のソーマ弐ノ皿」の第5話が放送された。創真とタクミの関係は素晴らしいんのだけど…
タクミは悟空べジータ状態を拗らせている「食戟のソーマ弐ノ皿」6話

創真のジャンプの主人公感がすごい


秋の選抜準決勝第一試合。創真はお題である「洋食のメイン」に対して、テール肉を使って強い味のビーフシチューを作ることに成功した。
しかし、相手はコピー料理人である美作昴。美作も同じテール肉を使い、創真のビーフシチューをコピーしてしまう。

さらに美作は付け合せに南米原産マメ科の木メスキートをスモークチップに利用した香ばしいベーコンを用意。前回のタクミ戦同様、創真を一歩リードするアレンジを見せた。

しかし、創真も付け合せに牛タン、ほほ肉、ハラミ、ハチノスなど様々な肉をその日の朝に用意し、料理が出来上がる瞬間まで味を構築し続ける。今まで試し続けてきた様々な味の経験を総動員して、美作のパーフェクト・トレースをその場で振り切り勝利した。


今話は、美作がグレてしまった過去や、負けて料理人を辞めようとした美作を止める創真など、少年マンガらしいシーンが詰め込まれていた。その中でも気になったシーンがある。

美作に奪われた99本の包丁がそれぞれの持ち主に返されるが、創真のライバルであるタクミ・アルディーニが受け取らない。そして愛刀メッザルーナを創真に突きつけて、食戟でいつか取り返すと宣言してその場を去ってしまうというシーンだ。

抜け出せるか?悟空べジータ状態!


タクミと創真の再戦はあるのだろうか?初期の主人公のライバルは、物語の都合上再戦が叶わないというパターンが少年マンガ界ではよく見られる。これを悟空べジータ状態と呼ぶようにしている。

この悟空べジータ状態は、一生再戦が出来ないし、出来てもなんらかの条件が付いてしまって純粋な決着がつかない。
なぜならば決着がついてしまうと、負けたライバルがキャラクターとして死んでしまうからだ。そして、この悟空べジータ状態の最たる例は、ボクシングマンガの金字塔「はじめの一歩」の幕の内一歩VS宮田一郎だ。

主人公の一歩と一郎は、コミックス第3巻でスパーリングを行って以来ずっと再戦を待ちわびているライバルだ。宮田に至っては同じジムではプロのリングで戦えないと、移籍をしてしまうほど。しかし、度重なるアクシデントで再戦は叶わず、現在発行されている114巻でもまだまだ実現していない。マンガ界きっての“戦えないライバル”だ。


この一歩と宮田の一番マズイ点は、再戦しそうでしなかったことだ。東日本新人王決勝戦で当たるはずが、準決勝で間柴了に卑怯技を使われて敗北。東洋太平洋チャンピオンになった後に一歩との再戦の話が出たときも、父の仇の息子であるランディー・ボーイ・Jrと運命的に出会いを果たし、そちらを選んでしまった。典型的に悟空べジータ状態を拗らせてしまっている。

タクミは悟空べジータ状態を拗らせてしまっているのか?


タクミはどうだろう?タクミも事あるごとに創真に食って掛かり再戦を要求。秋の選抜一回戦では、美作に卑怯技を使われて敗北してしまっている。
これはかなり拗らせていると言っていいだろう。

そしてタクミの悪い所は、創真と最初に引き分けてしまった事。ここでキッチリ負けていれば、しつこく再戦を要求する諦めの悪いライバルという比較的軽い扱いのキャラクターになれたのに、引き分けたことにより創真並みの実力を持つ強キャラとして認識されてしまい、おいそれと負ける訳にはいかなくなってしまったのだ。

悪い所はまだある。それは普段割りと創真と仲良くしてしまっている事だ。何かあるとすぐに創真の元に駆けつけて心配したり、助言を与えたり、ライバルでありながら仲間という一面も持ってしまっているのだ。
それに比べて宮田は、未だに一歩との間に緊張感が存在する。もしかしたら、宮田よりも“戦えないライバル”になってしまう可能性もあるのかもしれない。

再戦出来る唯一の望みは、メッザルーナという大事な包丁を創真に預けている事だ。腐女子人気が高いタクミだけにスポットライトをまた浴びる可能性は高い。その瞬間は、創真との決着をつける時なのだろうか?

(沢野奈津夫)