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「ダウントン・アビー」シーズン5本日最終回。ここまでの流れを徹底解説

2017年2月19日 10時00分 ライター情報:千野帽子
『ダウントン・アビー』シーズン5の地上波放送が最終回を迎える。シーズン5ここまで全体を振り返ってみたい。
また、つぎのシーズン6で完結するので、必要に応じてシーズン1からのおさらい情報も入れてみよう。

領地経営と貴族の沽券


『ダウントン・アビー』は、1910-20年代のグランサム伯爵家の「家督継承問題」と「領地経営問題」を描いたドラマである。
本来は家の財産を守るためにできたはずの限嗣相続制が、逆に家族の継続性を脅かす桎梏となって、伯爵家を苦しめる。

シーズン3以降クローズアップされてきたのが、伯爵ロバート・クローリーと長女メアリとの世代間対立だ。
かつてはそれでも、三女シビルと、メアリの夫マシューが、伯爵とメアリのあいだを取り持つようなところがあった。

そのふたりが、生まれたばかりの娘シビーと息子ジョージをそれぞれ残してシーズン3で命を落とすと、シビルと駆け落ち同然で結ばれた身分違いのアイルランド人運転手トム・ブランソンが、もともと社会主義者だったので伯爵の「敵」だったはずなのに、前シーズン、今シーズンをつうじて、領地経営における伯爵と長女の冷静な調停者として、頭角をあらわしてくる。
こういうのを見ると、「孫はかすがい」なのだな、と思う。

前シーズンで伯爵家は養豚に乗り出し、今シーズンでは宅地造成問題がシーズン全体の大文字の主題として浮上した。
また今シーズンは大戦戦死者慰霊碑の件で、建設委員長が伯爵ではなく、村で人望のある執事カーソンになってしまうなど、伯爵は踏んだり蹴ったりだ。

大人のロマンスと危機


本作は歴史ドラマであると同時に、ロマンスでもある。
今シーズンを含め、伯爵家の3人娘と、メアリの侍女アンナと伯爵の従者ベイツ、料理人助手デイジーと第2下僕ウィリアム(シーズン2で戦傷のため死亡)、第1下僕から軍務を経て副執事となったトーマス・バロウ、下僕のジミー(醜聞で解雇)、アルフレッド(料理修業のため退職)、アンドリュー、そして伯爵の従妹の娘ローズ、といった比較的若い世代の恋が描かれた。
しかしロマンスがオトナ世代にも容赦なく襲いかかったのが今シーズン。

伯爵夫人コーラが、チャラくて胡散臭い美術史家ブリッカー氏の猛攻に靡きそうになったのは、伯爵が彼女のことをおろそかにしたからだった。

その伯爵の母であるレイディ・ヴァイオレットの前には、若妻時代(ヴィクトリア期)にモスクワで淡い思いを寄せ合ったクラーギン公爵が、革命で祖国を追われた亡命者として姿をあらわした。

ライター情報

千野帽子

文筆家。著書『読まず嫌い。』(角川書店)『文藝ガーリッシュ』(河出書房新社)『俳句いきなり入門』(NHK出版新書)など。公開句会「東京マッハ」司会。

URL:Twitter:@chinoboshka

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