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アグレッシブな阿部寛がオレオレ窪塚洋介に攻められる……!「シンベリン」のムンムン異人感バトル

2012年5月2日 11時00分 (2012年5月5日 19時00分 更新)

「シンベリン」
5月4日〜8日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、5月29日から6月2日までロンドン、バービカン・シアターにて上演。

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阿部寛の異人感が絶好調だ。なにしろ「テロマエ・ロマエ」だもの。ローマ人より顔が濃い日本人俳優という需要が、いったいどれくらい必要なのか、よくわからないが、阿部ちゃんの力が必要にしちゃったのだと思う。

そして現在、阿部寛は舞台「シンベリン」(蜷川幸雄演出)でもイタリアに渡っている。いや、正確に言えば、イタリアに渡るブリテン人(イギリス人)を演じているのだ。
ローマ人役やらブリテン人役やら、大忙しの阿部ちゃん。日本人離れした二枚目・阿部寛が醸し出す、どこにいても居心地悪そうな感じが、かえってとってもチャーミングであることに対する賞味期限が、こんなにも長く続くなんて誰が予想していただろうか。

ではまず、阿部寛の歴史をサクッとおさらいしてみる。
モデルとしてデビュー。爽やか二枚目として人気を博すが、93年、つかこうへい作、演出の舞台「熱海殺人事件モンテカルロイリュージョン」でバイセクシャルの部長刑事を演じて演技派へとイメージチェンジ。00年から開始されたドラマ「TRICK」シリーズで、頭がいいのにどこかズレてる物理学者・上田が当たり役に。「どんと来い、超常現象」というキャラクター本もヒットしたこの役を演じ続けて既に12年も経過した。コメディも時代劇もアニメの声優もリアルな日常生活を描いた作品も多彩にこなす阿部だが、常に「ここではないどこか」を見つめているような瞳が、観客を惹き付けてやまない。

そして、ここへ来て、阿部寛はますますアグレッシブ。漫画原作映画だけでなく、本格派シェイクスピア劇においても異人ぶりを発揮する。
シェイクスピア劇「シンベリン」での阿部は、大竹しのぶ演じるブリテンのお姫様の旦那様役。でも、彼女の父王にふたりの仲を認めてもらえず、イタリアに追放になってしまう。
常に全身全霊でどっぷり芝居の世界へ入り込んでいくように見える元祖北島マヤ系女優・大竹しのぶに対して、阿部ちゃんの演技は控えめ。終始「なんでオレ、ここにいるんだろう?」というような両手ブラリの棒立ちな風情なのだ。そこに、この役の人の善さが感じられるのと同時に、「これ、お芝居ですから」「だって、外国人役なんてそうカンタンにできませんよ」というアンサーを受け取った観客は、少し気楽になれるのだ。ナイス、阿部ちゃん!

日本人が演じる外国人への異和感。ブリテンから来た人がひとりイタリア人たちに囲まれてしまっている異和感。阿部寛からは延々、異和感が漂って見える。

ライター情報

木俣冬

文筆業。ドラマ小姑。著書に『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』。他、ノベライズ『マルモのおきて』、『君が踊る、夏』『シュアリー・サムデイ』、構成を担当した『蜷川幸雄の稽古場から』『堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』などがある。演劇、映画、ドラマ、アニメなどの面白さを日夜追求している。『SPEC〜天〜』『外事警察その男に騙されるな』公式ライター
ツイッター @kamitonami

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