時間を奪う「Excel方眼紙」問題を公開討論へ! 生産性の低下に本当につながるのか
「Excel方眼紙公開討論会」サイトよりキャプチャ

表計算ソフト・Excelを方眼紙のような見た目に整形する「神Excel」。その利便性の悪さからネット上で物議を醸してきた「神Excel」問題について専門家らが語り合うイベントが、9月30日に開催される。主催はグレープシティ。

「神Excel」の問題とは?


Excel方眼紙公開討論会」と題された同イベントは、「神Excel」(Excel方眼紙)問題に関心を持つ人々が集まって議論を交わすというもの。「Excel方眼紙」廃止活動を行ってきた立命館大学教授・上原哲太郎さんの講演も予定され、本格的な内容に期待が高まっている。

そもそも「神Excel」とは、見た目を重視するあまり実用性が損なわれてしまったExcel表のこと。Excelは本来、数値データを集計したり計算するためのソフトだが、「神Excel」は出力して紙の書類として使うことが前提になっている。そこから紙とかけて「神」と揶揄する呼び方が一般化するようになった。

具体的な不備としては、セルが方眼紙状に配置されているためデータを入力する際に1マスに1文字ずつ入れる必要があったり、数字の全角と半角が混ざっていてデータの集計に不都合が生じたりと様々。紙の書類のように作られているため、データとして再利用できないことも大きな問題だと言われている。

ネット上ではこれまで「神Excel」への不満を吐露する声が多く上がってきた。とあるTwitterユーザーは「僕には関係ないと思ってたのに、ふと開いた書類が神エクセルだった」とつぶやき、Excelファイルの画像を投稿。ファイルは生年月日から氏名・フリガナに至るまで1マスずつ区切られていて、まるで手書き書類のような見た目になっていた。



またあるユーザーは「わが研究科の学位論文題目届」として、Excelファイルの画像を投稿している。紙の書類のように記入欄が設けられたファイルを、投稿者は「事務方はこれをつなげて一覧表にする。さらにワードにコピーしワード版を作る。大変な作業」「題目届を入力するのも大変。それを加工するのも大変。互いにムダな仕事」と批判している。




「神Excel」は生産性の低下につながる?


2013年7月には研究者の奥村晴彦さんが「『神Excel』問題」と題した論文を発表し、データとしての再利用を考えていないExcelの作り方を批判。「同じ情報を微妙に様式の異なる複数のExcelシートに入力することを強いられる」「論文リストの本人の名前にアンダーラインを付けるなど、単純なテキストの流し込みではできないルールが課されることもよくある。同じ内容をあちこちに入力しなければならないことも多く、現場の生産性を低下させている」と指摘していた。

ちなみに「神Excel」は公務員の作成するファイルに多いと言われてきた。2016年8月には自民党・河野太郎議員がTwitter上で科学研究費(科研費)について言及したところ、あるユーザーが引用RTで意見を表明。「科研費申請書のワード罫線が、どれだけ研究者の時間を奪っている(=研究時間のロス)か、河野議員に知ってもらういいタイミングではないだろうか」と投稿し、多くの賛成意見を集めることに。



Twitter上で様々な意見に触れた河野議員は、同年11月に文科省内で「神Excelを全廃させる」ことを宣言。不便すぎるExcelファイルが今度どうなっていくのか、注目が集まっている。