IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

東京ビッグサイトで先日開催された「日経IR・投資フェア2017」で、一風変わったブースを構える企業があった。そこではちょっとした舞台が構えられ、落語と大喜利が行われていたのだ。

どうやらこの企業、毎回、プロの落語家さんを呼び、落語や大喜利で投資家たちを楽しませる取り組みを行っているようだ。今年は東大・早大・明大の落語研究会のメンバーを呼び、大喜利の大学対抗戦を行った。

その企業の名はヤマシンフィルタ。この斬新なアイデアの意図と共に、3大学の落研メンバーの実力を一部紹介する。

なぜIRフェアで落語と大喜利を行うのか


IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

ヤマシンフィルタは、建設機械の油圧フィルタを製造販売している会社である。建設機械とは、よく工事現場で土砂などを巨大なシャベルで運んでいるアレだ。あの機械が動くとき、その内部では油がグルグル回っている。
機械が動くのは「油圧」によるものなのだ。しかし、その油はグルグル回るうちに泥や埃で汚れてしまう。放っておくと機械の故障につながるそうだ。そこで役立つのが油圧フィルタだ。フィルタで泥や埃をろ過して除去し、綺麗にするのだ。ヤマシンフィルタの油圧フィルタは、業界では約70%のシェアを占めるという。


そんなヤマシンフィルタは、建設機械や油圧とはまったく関係のない落語や大喜利でIRフェアを盛り上げている。いったいどういうことなのか。その意図を社長の山崎敦彦氏に聞いてみた。

「IRというと、定量的な数字を公表したり、製品の説明をしたりするのが一般的です。しかし、それは会場でやらなくてもいいですし、投資家の方は事前にご存知のことも多いものです。そこで定量的ではない、定性的なアピールをしたいと考え、開き直って笑いを取り入れました
ヤマシンフィルタという会社の雰囲気を味わってほしいと考えたのです。落語好きな社員も多いですし、社内でもよく話をします」

また、ブースの雰囲気づくりにもこだわりがあるという。
オレンジ、黒、緑の定式幕や江戸時代風の模様があしらわれた舞台はどこか懐かしい感じを覚える。
IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

「個人投資家というと、60~70代の方が多いです。年齢的にも、洗練されたブースよりも、このほうがずっと抵抗なくスッと立ち寄っていただけると考えました」

株式評論家の櫻井英明氏によると、去年は株価が500円だったところ、IRフェアでの落語や大喜利の効果なのか、現在はその8倍に増えたそうだ。しかも昨年1年間での東証1部の値上がり率がトップとなったという。
なんとも不思議なものである。

3大学の落研をゲストに迎え大学対抗大喜利を実施


IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

今年は東京大学、早稲田大学、明治大学それぞれの落語研究会のメンバーをゲストに迎え、バトルをさせた。優勝するとフィリピンのセブ島旅行に行ける。

「フィリピンのセブ島には我々の工場があるため、工場見学とセットで旅を楽しんでもらおうと思っています。大喜利で座布団の代わりに獲得したレイの数が点数に加算されます。その他、当日来場された方からのアンケートやTwitterによる投票などを総合的に審査して優勝が決まります。学生たちにもヤマシンフィルタのことを知ってもらい、就職先としても興味を持ってもらいたいという意図もありました」

大喜利での各大学の奮闘レポート


IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

3大学対抗大喜利の司会は、プロの落語家である桂扇生(かつらせんしょう)氏と、株式評論家の櫻井英明氏。
本格的な進行の下、繰り広げられたバトルの様子を一部紹介しておこう。

お題1「ヤマシンフィルタとかけまして○○と説きます。その心は?」
IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み

明大:ヤマシンフィルタとかけまして、鉱山と説きます。(その心は)『輝かしいコウセキがあります

早大:ヤマシンフィルタとかけまして、引っ越し会社と説きます。(その心は)『コスのが仕事

東大:ヤマシンフィルタとかけまして、空のシャーペンしか持ってないと説きます。(その心は)『どちらもシンカし続けるでしょう

お題2「穴埋め問題」
ヤ○○○○
マ○○○○○○
シン○○○

IRフェアでなぜか大学の落研が大喜利! ヤマシンフィルタの一風変わった取り組み


明大:いとこが結婚した「ヤがてくる マんねり知らぬ シンこんさん

早大:休み中のパパについて「ヤすみだが、ママに怒られ シンだ目に

東大:毎日のサラリーマン「ヤなこった マんいん電車 シンどいな

結果的にセブ島の工場見学&バカンスを勝ち取ったのは早稲田大学だったという。


来年はまた別の大学が呼ばれるのか、それとも新しい展開になるのか。そして今後のヤマシンフィルタの株価の動きも楽しみである。
(石原亜香利)

取材協力
ヤマシンフィルタ
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