窃盗犯や性犯罪者などを民衆が捕えて制裁を加える「私刑行為」が相次いでいる中国だが、容疑者が子どもの場合でも容赦ないようだ。

「人民日報」(10月22日付)によると、雲南省昭通市の路上で、中学生と思われる少年3人がロープで体を縛られているのが見つかった。

この少年たちの胸元には「私たちは泥棒です」と書かれた紙が貼られ、なんと顔にも中国語で泥棒を意味する「小偷」の文字が書かれていた。

 近所の住民の通報を受け、現場に駆け付けた地元警察によって少年たちのロープは解かれ、保護された。地元メディアの取材によると、この日の明け方4時頃、少年たちは付近の路上を歩いていたところ、漢方などを取り扱う店舗のドアが開けっぱなしになっていたことから、店内に侵入し、盗み出せそうなモノを物色していたという。ところが、店主夫婦に見つかり、捕らえられた3人は黙り込んで口を割らず、保護者の名前さえも言おうとしなかったため、店主夫婦は縄で3人を縛り上げ、路上の欄干に縛り付けたという。

 警察は少年3人を保護した後、店主夫婦を、未成年者を不当に監禁したとして、監禁罪の容疑で逮捕した。

 この一件に対し、中国版Twitter「微博」ではネットユーザーから、賛否両論のコメントが寄せられている。


「そもそも、明け方に子ども3人がうろついていること自体がおかしい。こいつら、子どもだけど前科もあるだろうし、犯罪者予備軍だ。未成年だから、警察に通報しても罰せられないだろうし。俺が店主なら、同じことやっていたかもしれない」

「この子どもたち、かわいそうだな。親が育児放棄してるんだろうな。実は、一番悪いのは親のほうなんじゃないか?」

「写真を見てみろ。
こんなことされても、全然平気な顔してるぞ。こいつら、しょっちゅう悪さしてるから、これくらいじゃ何も感じてないんだよ」

 昨年3月には、広西チワン族自治区玉林市の農村で、児童が民家に侵入し、金を盗んだとして地元住民から檻に閉じ込められるという事件も発生している。2014年には、同自治区宜州市の農村で、アヒルを盗もうとして捕まった2人組の少年が、住民らによる私刑を受けている様子を映した写真がネット上で広がり、世界的な話題となっている。

 少年法のあり方に対しては日本でも議論が起きているが、「法で裁けないなら、自分たちの手で」というのが、中国人民が出した少年法に対するひとつの答えのようだ。
(文=青山大樹)