長時間労働が問題視される中、定時退社を奨励し残業ゼロを目指す企業が増えている。しかし、業務量が多いなどの事情で、定時内で仕事が終わらない人にとっては、かえって負担に感じることもあるようだ。


11月10日、はてな匿名ダイアリーに寄せられた 「残業させてくれ。もちろん金はいらない」という記事にそうした気持ちが書かれている。


投稿者はプログラマをしている人物。転職1ヶ月というが、仕事が終わらず、


「無能なのは自分のせいなので、タダ働きでいいから与えられた仕事を全うさせてください」


と訴えた。


■「自分の無能さを労働力ダンピングで補おうとするな」と批判相次ぐ



投稿者は、サボっているわけではないが、仕事を進めるペースが遅いのだといい、定時までに業務が終わらない。プロジェクトマネージャー(以下、PM)に相談したところ、スケジュールを延ばしてもらうことができた。


PMからは「残業させないためにスケジュール延ばしたんだから、定時で帰ってください」と指示された。残業されると残業代が発生するし、プロジェクトの収支にも関わってくるので、管理職からしたらちゃんと帰ってもらいたい。


しかし、投稿者はここで後ろめたさを感じたのだそうで「無能なのは自分のせいなので、タダ働きでいいから与えられた仕事を全うさせてください」と自身の気持ちを書いている。


はてなブックマークでは、「気持ちはわかるし、ある程度慣れて生産性が並以上になるまで、そんな気持ちで仕事してる人はいる」など、投稿者に同情する意見もある一方で、


「自分の無能さを労働力ダンピングで補おうとするな。全員が不幸になる。現状を上司に報告して指示を仰いだほうがいい」
「金はいらないとかいう奴には仕事任せたくないわ」


など、投稿者の考えに否定的なコメントが相次いだ。

終わらない仕事を無給で行えば本人は満足するかもしれない。しかし、これは「仕事が終わらなければサービス残業して当然」という雰囲気を社内に作ってしまいかねず、危険視しているわけだ。


■そもそもが「スキルアンマッチ案件」という指摘も


また、「遅いという事象を認知したばかりなのだから、次は原因分析するべき。その上で対策をたて、次に自分が続けていけそうか判断したらいい」など、ただ時間をかけて仕事をすることよりも、一度立ち止まって業務内容を見直すことを勧める意見もある。


そもそも、スケジュールを延期したのに投稿者の能力では処理しきれないとすれば、上の人間のマネージメントが適切だったのかも考え直さなければならない。場合によっては配置転換もありだろう。


「能力はあなたの責任だけど、業務と能力のギャップは採用・配属した会社の責任でもあるはずです」
「スキルアンマッチ案件なのでPMに向いてる業務を探してもらってはどうだろう」


残業をなくすためには、ただ定時に帰ることを奨励するだけでなく、仕事量や人員の数、そもそもスケジュールに無理がないかなどを考えることが不可欠だ。管理者側が具体的な施策を従業員に示さなければ、投稿者のように自ら進んでサービス残業をしようとする人を生むこともあり、それこそ本末転倒だろう。


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