絶滅危惧種の動物を闇で取引し高値で販売する者はあとを絶たない。このほどスーツケースに詰められ密輸された希少なカメが、空港の税関職員らにより発見され保護された。
『The Star online』や『Business Insider』が伝えている。

5月14日、マレーシアのクアラルンプール国際空港に密告が寄せられ、税関スタッフらは航空貨物倉庫に出向き5つの箱にそれぞれ入っていたスーツケースを調べた。

マダガスカルのアンタナナリボのイヴァト空港から輸送されたそのスーツケースには、湿らせた袋の中に入れられたマダガスカル固有の「ヘサキリクガメ」5匹と、インドやスリランカに生息する「インドホシガメ」325匹がぎっしりと詰まっていた。

いずれのカメも絶滅危惧種で、ヘキサリクガメは1匹17,431マレーシアリンギット(約45万円)、インドホシガメは1匹4,335マレーシアリンギット(約11万円)で販売されるとみており、今回密輸された330匹の総額は120万マレーシアリンギット(約3,100万円)もの価値になることが明らかになった。

珍しいカメはエキゾチックなペットとして人気なことから、現地で闇取引の後に密輸されたようだ。航空貨物運送状には「石」と表記されており、サラッ・ティンギ市内にある店の住所も偽られていたという。


税関次長のアブドゥル・ワヒド=サロングさんは、「2015年以降、似たような密輸は5件ありました。しかしいずれも手荷物で運べるほどの量や郵送といったケースでした。今回のように大量のカメが密輸されるのは初めてといってよいでしょう」と話している。今のところ、この密輸が組織的な犯罪であるか否かについては言及していない。

カメは渡航前に鎮静剤を投与されていたようだが、幸いにも330匹全てが生きており、「マレーシア半島野生生物・国立公園局(Department of Wildlife and Natural Parks of Peninsular Malaysia)」に引き渡される予定とのことだ。

なお、同空港では5月上旬にも日本円で2億2千万円の価値があるとされる「センザンコウ」の鱗が密輸されたが、税関で摘発されている。




画像は『TRAFFIC-the wildlife trade monitoring network 2017年5月15日付Facebook(Elizabeth John/TRAFFIC)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)