アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| BUMP OF CHICKEN 2008 TOUR “ホームシップ衛星” | 2008.05.18(SUN) at さいたまスーパーアリーナ |
全国のライヴハウスを回った【ホームシック衛星】から、全国のアリーナを回る【ホームシップ衛星】へ。約2年振りにしてバンド史上最長となった今回のツアーも、いよいよ終盤に突入した。5月18日、さいたまスーパーアリーナで行われた【ホームシップ衛星】追加公演。長いツアーを通しても最大規模の会場となったこの日だが、やはりというか当然というか、そのステージ構成は至ってシンプルなものであった。アリーナツアーから導入された大型ヴィジョン以外、ほとんど装飾の無いシンプルなステージセット。小ぢんまりとした楽器の配置。何か特別なことがあるとするならば、遥かスタンド上方まで埋め尽くした観客の数ぐらいだろうか。しかし、その観客の多さ=思いの強さこそが、BUMP OF CHICKENの音楽を特別なものへと変えてゆくのだ。
大型ヴィジョンに映し出された“星の鳥”のCG映像に誘われるように幕を開けたこの日のステージ。導入部に披露された「メーデー」、「才悩人応援歌」――そこからも分かるように、このライヴの主軸を担うのは、アルバム『orbital period』の楽曲達である。独特なビートが紡ぐ「ハンマーソングと痛みの塔」、繊細なアコギの音色と力強い歌が巨大な空間を貫いた「花の名」、“コール&レスポンス”という言葉を超えて会場をひとつに繋いだ「かさぶたぶたぶ」、さらには「星の鳥 reprise」や、刹那のスピードで加速する「カルマ」に至るまで、圧倒的な歌の存在感と引き締まった演奏によって、立体的に描き出されてゆく『orbital period』の濃密なる世界。
しかし、その流れの要所要所に置かれた過去の楽曲達もまた、この『orbital period』の世界を構築する重要なパーツとして鮮烈な存在感を打ち放っていた。既に十分耳馴染みがあるはずの楽曲達が、今この場所で初めて出会うような新鮮さと輝きを湛えていることの不思議。そして、この日のアンコールで初披露された新録曲「プレゼント」が喚起する『THE LIVING DEAD』の記憶。
その時ふと思った。オープニング映像の最後でシンクロする4つの「28」という数字、『orbital period』というアルバム・タイトル、そして“衛星”と名づけられた今回のツアー名。それらを貫くキーワードは“周期”だ。“原点回帰”でも“温故知新”でもなく“周期”。そう、彼らは文字通り周回軌道を巡って戻って来たのだ。無論、その場所から見える景色は、かつてと同じものではないだろう。しかし、過去と現在が交錯するその不思議な場所で、おもむろに立ち現れて来たものがある。それは、彼らの生み出して来た数多の楽曲達が最初から揺らぐことなく持ち続けていた、音楽としての巨大な力である。恐らく、『orbital period』を生み出す原動力にもなったであろう、そんな彼らの驚きと興奮が、全ての楽曲の中へと余すことなく注ぎ込まれ、一斉に輝き始めたような圧巻のライヴ・ステージ。『orbital period』というアルバムが射程し喚起させたものは思いのほか大きい。改めてそう思った。
(取材・文/麦倉正樹)