米Rolling Stone誌が選ぶ「史上最高のギターソロ100選」に名を連ね、21世紀を代表するギタリストとしての地位を揺るぎないものにしているセイント・ヴィンセント(St. Vincent)。そんな彼女が、同ランキングの中でも敬愛してやまないのが、スティーリー・ダン(Steely Dan)の「Kid Charlemagne」だという。
名手ラリー・カールトンによる伝説的なプレイに、彼女が深く心酔する理由とは?

スティーリー・ダン「Kid Charlemagne」のギターソロが史上最高である理由──セイント・ヴィンセントが熱弁
DUBLIN, IRELAND - OCTOBER 13: St. Vincent performs during the All Born Screaming Tour at The 3Olympia Theatre Dublin on October 13, 2024 in Dublin, Ireland. (Photo by Debbie Hickey/Getty Images)

セイント・ヴィンセント(Photo by Debbie Hickey/Getty Images)

セイント・ヴィンセントことアニー・クラークに、ギターソロについて語らせるのはそう難しいことではない。彼女は、自身が最初に覚えたソロを今でも鮮明に覚えている(パール・ジャムの「Alive」)。キャリア20年目を迎えた現在の彼女は、誰にも真似できないような見事なリフを自在に繰り出している。その実力は、先日リリースされたばかりのオーケストラ録音盤『Live in London!』(BBCロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートを記録したもの)でも存分に発揮されている。上昇していく「Black Rainbow」や、デイヴィッド・ギルモアが牙を剥いたような不協和音を響かせる「Live in the Dream」などはその好例だ。

そんな彼女にとっての「史上最高のギターソロ」は何か? クラークはRolling Stone誌にこう答えた──「Kid Charlemagne」。

1976年に発表されたスティーリー・ダンの名曲「Kid Charlemagne」は、同誌が選ぶ「史上最高のギターソロ」ランキングで8位にランクインしている。アルバム『The Royal Scam』の幕開けを飾るこの曲は、ラジオで流しやすい4分38秒(シングル盤では4分弱に短縮)という長さだが、その約4分の1をギタリストのラリー・カールトンが支配している。

ドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカーと共にスタジオに籠もり、わずか50秒のソロを作り上げるのに約2時間を要したと言われている。ベッカーの強いこだわりにより、カールトンは愛用のGibson ES-335を手にする前に、Fender Stratocasterで何度も録音を繰り返させられた。録音されたテイクの多くはボツとなったが、完全な即興であったアウトロのソロだけは、ワンテイクで決まったという。

「『The Royal Scam』のギターソロはあまりに象徴的だから、一音一音そのまま聴きたいの」とクラークは言う。
彼女は、その1年後にリリースされた「Peg」(『Aja』収録)もまた、ギタリストとしての心を掴んで離さない候補曲であることを認めた上で、こう続けた。「誰かが即興で引き伸ばしたり、完全にその場のノリで弾いたりするのは聴きたくない。たとえ、彼らが歴史上屈指のギタリストたちであってもね。私はラリー・カールトンのソロを音符通りに聴きたい。それこそが、あのソロがいかに素晴らしいかの証拠だわ。楽曲の構成として、侵すべからざる聖域なのよ」

アニー・クラーク自身、再解釈というものを熟知している。3月20日にデジタルリリースされた19曲入りの『Live in London!』は、指揮者ジュールス・バックリーが率い、レイチェル・エクロスが共同プロデュースを務めた。切望に満ちた「Los Ageless」や、胸を締め付ける「New York」といったファンの人気曲が、オーケストラ・アレンジで披露されている。彼女はこの経験を「輝かしく、洗練されたもの」と表現する。「……特に、これまでのツアーで最も暴力的だったと言える『All Born Screaming』のツアーを経た後だから。確かにその証拠の傷跡も残っているわ。そこから今回のような形に移行して、ステージの上の2時間、美しさに浸ることができたの」

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From Rolling Stone US.

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