夏休みも終わりに近付くと、頭をよぎる「新学期」の2文字。不登校や行きしぶりがあるお子さんを持つご家庭にとって、親も子も気持ちがソワソワと揺れ動きやすい時期です。


「新学期から学校に行けるだろうか」「家庭でどう接するのが正解なのか」——。

発達障害や不登校の子どもを持つ保護者の相談支援を行っているユニポップル代表の瀬名香織さんは、「よかれと思って親がやってしまいがちな対応が、実は子どもを追い詰めているケースが少なくありません」と話します。

夏休み後半、不登校の子どもを持つ親が「絶対にやってはいけない3つのNG行動」と適切な向き合い方について、瀬名さんにお聞きしました。

■【NG1】「友達? 先生? 勉強?」と追及する“事情聴取”
「学校に行きたくない。でも、なぜなのか本人も理由が分からない」——不登校では、このように理由がはっきりしないケースが実は少なくありません。

何か1つの大きな原因があるとは限らず、小さなストレスや違和感が積み重なり、子ども自身も言葉にできなくなっているのです。

しかし、わが子から「学校に行きたくない」と言われると、親はどうにか解決したくて「友達と何かあったの?」「先生?」「どの教科が嫌なの?」と理由を特定しようとしてしまいがちです。

瀬名さんは「理由を答えさせようと追及し続けないことが大切」と話します。特に中学生くらいになると、「休むためには大人が納得する理由を言わなければ」と考え、いくつもある要因の中から「数学が嫌」「○○君が嫌」など、1つだけを理由として挙げることもあります。

それを親が額面通りに受け止め「じゃあ数学だけ休めば行ける?」と解決に走ると、会話がすれ違い、子どもはさらに口を閉ざしてしまいます。

大切なのは「犯人探し(事情聴取)」ではなく、「行きたくないんだね」と今の気持ちをそのまま受け止めて、子どもが何を感じているかを話しやすい状態を作ること。話していくうちに子ども自身も気付いていない本心が出てくることもあるのです。


■【NG2】「遊ぶ元気があるなら学校へ行きなさい」と好きなことを禁止する
学校には行けないのに、好きなことには夢中になる。外出もするし、楽しそうに過ごしている。例えば、学校を休んでいるのに、大好きなカードを買いに行ったり、カードバトルには元気に参加したりする。

そんな姿を見ると親は、「こんなに元気なら学校にも行けるのでは?」「好きなことばかりして、このままでいいの?」と思ってしまいがちです。

しかし、瀬名さんは「学校以外で元気であることと、学校へ行ける状態であることは全く別です」と話します。

瀬名さんが勧めるのは、むしろ「好きなことを一度しっかり応援する」こと。好きなものを無理に取り上げたり、「学校に行かないなら○○は禁止」といった形で学校に行くことを条件づけたりすることはNGです。大人に理解され、応援されているという安心感は、子どものモチベーションにつながります。

好きなことに没頭することで、子どものエネルギーが戻ってきたときに、「学校へ少し行ってみようかな」「フリースクールに行ってみようかな」「家で勉強してみようかな」と次の選択肢につながることもあります。

大切なのは、「学校へ戻すために好きなことを応援する」のではなく、「好きだから応援する」。その姿勢がポイントです。

■【NG3】夏休み後半の「あと1週間で学校だね」のカウントダウン
夏休みが終わりに近付くと、瀬名さんのもとには「いつ頃から学校の話をしたらいいですか?」という保護者からの相談が増えるそうです。


しかし、瀬名さんは「1~2週間前から『もうすぐ学校だね』と確認する必要はありません」と断言します。

子ども自身も、夏休みが終わることは痛いほど分かっています。そんな中で親から「あと1週間だね」「あと3日だね」と神妙な顔で繰り返されると、そのたびに強いプレッシャーと不安を感じてしまいます。

直前になって「○日から学校だね」と具体的な予定を伝えるのはよいとしても、それまでは夏休みの残りの日々を思い切り楽しむ。まずは親子で「学校」のことから少し離れ、子どもが安心して過ごせる時間を大切にしてください。

■親自身が1人で抱え込まないために
友達や先生とのトラブルなどをきっかけに、人と関わることそのものが怖くなっている子の場合、学校だけでなく外出自体が難しくなったり、知らない人に会えなくなったりすることもあります。この状態では、まずしっかり休ませ、刺激を入れ過ぎないことが重要です。

心配した学校の先生が電話をしたり家庭訪問をしたりすることもありますが、対人ストレスが強い子にとっては、それ自体が大きな負担になることがあります。学校からのアプローチも、その子の状態を見ながら慎重に考える必要があります。

そして何より重要なのが、保護者自身が1人で抱え込まないことです。

「温かく見守りましょう」と言われても、親自身が追い詰められていれば難しいもの。不登校は特別な家庭の問題ではなく、子どもの状態の「サイン」に過ぎません。
医療機関や民間支援、カウンセリングなど、親自身が相談できる場所としっかりつながっておきましょう。

お話を聞いたのは:瀬名 香織(せな かおり)さん
株式会社ユニポップル代表。「凸凹kidsロードマップアカデミー」主宰。発達障害やグレーゾーン、不登校・行きしぶりの子どもを持つ保護者へのカウンセリングや講座を行い、これまで約5,000人の相談に携わる。産業カウンセラー、家庭療法カウンセラー、などの資格を持つ。自身も発達障害・不登校の子どもを育てる母。発達が気になる子どもの学習支援とフリースクールを行うNPO法人の設立準備中。

この記事の執筆者:廣田 美絵子
大手化粧品会社で人事部にて採用・教育・広報を担当。その後教育系のベンチャー企業を経てフリーランスで取材・編集・執筆を行う。キャリアコンサルタントでもあり、人のキャリアや生き方にフォーカスした記事執筆を得意とする。
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